公務員試験 H29年 国家一般職(農学) No.16解説

 問 題     

果菜類の生理障害に関する記述として最も妥当なのはどれか。

1.トマトの乱形果は,果実肥大期の後半に30 ℃ 以上の高温に遭遇するとともに,養水分が不足すると,心皮が異常に形成され,不均一になる現象である。

2.石ナスは,強日射や高温によって果皮の色素が不足し,果実表面の色づきが悪くなる現象である。種子が多く形成されるために硬くなり,果実品質が劣る。

3.キュウリのブルームは,果実表面に白い粉が付着したように見える症状で,カルシウムを多く含む分泌物質により発生する。カルシウム吸収の少ないユウガオ台に接ぎ木すると発生が減る。

4.ピーマンの尻腐れ果は,果梗に白い斑点が現れる現象である。原因は,トマトの尻腐れ果とは異なり,遺伝的なものであるため,品種によって発生の有無が異なる。

5.イチゴの雌ずいは,一部でも受精せず正常な痩果が作られなければ,果床の肥大・成熟が抑制され奇形果になる。これは,ミツバチの活動不良や,花粉の稔性低下などが原因である。

 

 

 

 

 

正解 (5)

 解 説     

選択肢 1 ですが
乱形果とは名前の通り形が乱れた果実ができる現象です。栄養過多、夜間の低温など、様々な原因から生じます。心皮=雄しべの構成単位 です。よって、選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2 ですが
石ナスとは、果実発育が悪く、固く小さくなる現象です。色素不足ではありません。原因は受精できないか不十分で単為結果することによります。よって、選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 ですが
ブルームは「ケイ酸」を多く含みます。ブルームレス台木を使うことで発生が減ります。よって、選択肢 3 は誤りです。

選択肢 4 ですが
トマト、ピーマンなどで発生しやすい尻腐れ果は、カルシウム欠乏によりカビ発生しておきます。遺伝的なものではありません。よって、選択肢 4 は誤りです。

以上より、1~4誤りなので、正解は 5 です。

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