公務員試験 H29年 国家一般職(化学) No.39解説

 問 題     

図は、遺伝情報を司る核酸を構成している主なヌクレオチド 8 種類の構造を表したものである。

人体内では Ⓐ~Ⓗ のヌクレオチド間で相補的塩基対が形成されることによって遺伝情報が伝達される。例えば、ⒷとⒼは、転写過程における正常な相補的塩基対である。ヌクレオチドに関する記述㋐、㋑、㋒のうち妥当なもののみを全て挙げているのはどれか。

㋐ :Ⓐ、Ⓒ、Ⓔ、Ⓖは、いずれも RNA の構成ヌクレオチドである。

㋑ :遺伝情報の複製においては、Ⓐ と Ⓑ 及び Ⓒ と Ⓓ のみが正常な相補的塩基対である。

㋒ :遺伝情報の翻訳においては、Ⓔ と Ⓗ 及び Ⓕ と Ⓖ のみが正常な相補的塩基対である。
 
1.㋐
2.㋐、㋑
3.㋐、㋑、㋒
4.㋑、㋒
5.㋒

 

 

 

 

 

正解 (5)

 解 説     

㋐ :Ⓐ、Ⓒ、Ⓔ、Ⓖは、いずれも RNA の構成ヌクレオチドである。

㋑ :遺伝情報の複製においては、Ⓐ と Ⓑ 及び Ⓒ と Ⓓ のみが正常な相補的塩基対である。

㋒ :遺伝情報の翻訳においては、Ⓔ と Ⓗ 及び Ⓕ と Ⓖ のみが正常な相補的塩基対である。
 
1.㋐
2.㋐、㋑
3.㋐、㋑、㋒
4.㋑、㋒
5.㋒
 
8種類のヌクレオチドは、まず、糖部分が デオキシリボースかリボースかで、大きく DNA 構成ヌクレオチドか、RNA 構成ヌクレオチドかに分類されます。「デオキシ」が DNA 側なので A~D が DNA 側です。E~H が RNA の構成ヌクレオチドです。従って、㋐の記述は誤りです。正解は 4 or 5 です。記述㋒は正しいとわかります。

塩基部分に注目すれば、右端だけピリミジン環のメチル基の有無が異なっています。従って、D がチミン、H がウラシルとわかります。チミンと DNA 複製において相補的塩基対を形成するのはアデニンです。アデニンは、Aです。つまり、A と D が正常な相補的塩基対です。よって、記述 ㋑ は誤りです。

以上より、正解は 5 です。

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