公務員試験 H29年 国家一般職(教養) No.30解説

 問 題     

国際的な会議や組織,協定に関する記述として最も妥当なのはどれか。

1.2015 年,初めての国連防災世界会議が,東日本大震災の発生を契機として宮城県仙台市で開催され,主要国の首脳を始め各国代表らが参加した。同会議は,自然災害のみならず,紛争被災者や難民など世界的な人道危機の効果的な支援を目的としており,2030 年までの新たな国際的な防災の取組指針となる「仙台防災枠組」を採択した。

2.2015 年,アジアインフラ投資銀行(AIIB)の設立協定が調印された。AIIB はアジアのインフラ整備を目的として設立された地域開発金融機関の一つで,アジア,アフリカ諸国に加え米国等の計57 か国が設立時から参加している。この設立に伴い,1960 年代に日米主導で設立されたアジア開発銀行(ADB)は世界銀行に統合された。

3.2016 年,環太平洋パートナーシップ(TPP)協定の署名式が行われた。複数の国による自由貿易協定は,このほかに北米自由貿易協定(NAFTA)などがある。TPP 協定は,当初,ブルネイ,中国,メキシコ,シンガポールの4 か国で交渉が開始され,我が国や韓国を含む12 か国が協定に署名した。

4.2016 年,三重県志摩市で主要国首脳会議(サミット)が開催された。第1 回サミットは,1975 年に英国首相の提唱により,英国,フランス,旧西ドイツの3 か国が参加して行われた。伊勢志摩サミットの首脳宣言には,経済,外交,環境対策などが盛り込まれ,地球温暖化対策の国際的枠組みであるウィーン条約について2016 年中の発効を目指すことも確認された。

5.2016 年,国連では,潘基文事務総長の任期満了に伴う後任の事務総長の選出が行われた。今回の事務総長選出では,公開性,透明性を高めるため,総会において候補者との非公式対話が初めて行われ,その後,15 か国で構成される安全保障理事会の勧告に基づき,総会によってアントニオ・グテーレス氏が事務総長に任命された。

 

 

 

 

 

正解 (5)

 解 説     

選択肢 1 ですが、2015 年の国連防災世界会議は、第3回です。よって、選択肢 1 は誤りです。「防災」というキーワードで、世界が一つになって、経験を活かしてよりよい世界にしようとする姿勢に、個人的に希望を大きく抱いています。

選択肢 2 ですが、ADBは存続しています。世界銀行に統合されたわけではありません。よって、選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 ですが、TPPに中国は含まれません。よって、選択肢 3 は誤りです。

選択肢 4 ですが、第1回サミットは、仏、英、米、西独、イタリア、日本が参加して行われました。よって、選択肢 4 は誤りです。また、首脳宣言では 「パリ協定」の2016 年中の発効に努力する、という内容でした。

選択肢 5 は、妥当な記述です。

以上より、正解は 5 です。

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