公務員試験 H29年 法務省専門職員 No.53解説

 問 題     

R.K.マートンの理論に関する記述A,B,Cのうち,妥当なもののみを全て挙げているのはどれか。

A.彼は,個人に対して評価や行動の基準を提供し,意見や態度の決定に当たってよりどころになる集団を「準拠集団」と呼んだ上で,家族や友人集団など現在所属している集団が準拠集団であり,かつて所属していた集団は準拠集団となり得ないと述べた。

B.彼は,個人が自ら加わりたいと望んでいる学校や会社などの社会組織の価値や規範,慣習などを前もって学習して内面化することを「予期的社会化」と呼んだ。

C.彼は,同時代の社会学の理論が,計量的に測定可能なものに限定された調査至上主義的なものになっているとして,それを「中範囲の理論」と呼んで批判した上で,社会システム全体を射程に捉えた一般理論を構築することの必要性を唱えた。

1.A
2.B
3.C
4.A,B
5.B,C

 

 

 

 

 

正解 (2)

 解 説     

記述 A ですが
マートンは「所属していないにしてもその集団を理想としてそれに準拠する事もある」と述べました。「かつて所属していた集団は・・・なり得ない」というのは妥当ではありません。「定年後も、かつて警官だったから、怠惰な生活をせず規則正しい生活を行う」といった例を考えると、イメージしやすいのではないでしょうか。記述 A は誤りです。

記述 B は妥当です。
予期的社会化についての記述です。

記述 C ですが
マートンは、全体包括的な一般理論は時期尚早とし、特定の限られた範囲に適応できる特殊理論を開発することが先決だと主張しました。これを中範囲の理論といいます。記述 C は誤りです。

以上より、正解は 2 です。
類題 H27 no52

コメント