公務員試験 H29年 法務省専門職員 No.51解説

 問 題     

É.デュルケムの理論に関する記述として最も妥当なのはどれか。

1.彼は,社会の存続要件について分析し,社会規範の在り方について検討した上で,社会の発展に資すると考えられる概念を「理念型」と名付け,それを発見することが社会学の根本課題であるとした。

2.彼は,個人の外にあって個人に強制力を持つ,集団の信念や慣行,思考の様式などの社会的潮流を「社会的性格」と呼び,これらを心理現象として観察することを社会学の方法的規準とした。

3.彼は,相互に類似した同質的な成員が結合した「機械的連帯」の社会から,独立した人格を持った異質の成員が自らの個性を能動的に生かしながら,分業に基づいて相互に結びつく「有機的連帯」へと移行するという社会変動を想定した。

4.彼は,集団規範の維持について検討した結果,集団規範に同調するよりも個人主義に依拠する方が,結果的に集団意識が強まり,社会の安定が図られるとし,「方法論的個人主義」の立場を採った。

5.彼は,自殺を社会環境との関連で分析し,社会規範への服従などの結果として生じる自殺の型を「アノミー的自殺」と呼び,その具体的な例として,伝統社会に見られる殉死,名誉を守り恥辱を逃れるための軍人の自殺などを挙げた。

 

 

 

 

 

正解 (3)

 解 説     

選択肢 1 ですが
「理念型」はマックス・ウェーバーが提唱した概念です。デュルケムではありません。デュルケムは、社会学という学問の対象が「社会的事実」であると「社会学的方法の基準」で明示しました。選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2 ですが
「社会的性格」はエーリッヒ・フロムにより提示された概念です。デュルケムの理論ではありません。選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 は妥当です。
「社会分業論」などで定式化しました。

選択肢 4 ですが
デュルケムは「方法論的集合主義」の代表的論者です。「方法論的個人主義」の代表的論者はマックス・ウェーバーです。選択肢 4 は誤りです。

選択肢 5 ですが
アノミー的自殺とは、社会的規制がない、もしくは少ない状態においておきる自殺の形態のことです。「殉死」などは「集団本位的自殺(利他的自殺)」に分類されます。選択肢 5 は誤りです。

以上より、正解は 3 です。
類題 H27no55

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