公務員試験 H29年 法務省専門職員 No.50解説

 問 題     

ソーシャルワークの実践アプローチに関する記述として最も妥当なのはどれか。

1.行動変容アプローチは,人は自らの人生を物語ることで人生と人間関係に意味を与え,他者との関わりにおいて人生と人間関係を形成するという見方を前提とした方法であり,M.ホワイトとD.エプストンによって提唱された。

2.問題解決アプローチは,H.パールマンによって提唱され,ケースワークの「診断派」と「機能派」の理論を折衷的に取り入れて発展してきた方法であり,クライエントが援助者の関わりによって,問題の解決に向けての「動機づけ」や「能力」を高め,問題を軽減していくための「機会」を積極的に活用していけるようになることを目指している。

3.課題中心アプローチは,援助者が,クライエント自らが気付いていない問題を発見して,その問題を解決するためにクライエントが遂行すべき課題を設定し,クライエントがその課題を達成することを繰り返す過程を通して,長期間にわたって問題解決を目指す方法である。

4.解決志向アプローチは,クライエントが自分の潜在的な能力に気付き,自分の力を使って生活上の困難をもたらしている環境に働きかけることによって,生活問題を克服する自信を回復させる方法であり,B.ソロモンによってソーシャルワークにその概念が導入された。

5.危機介入アプローチは,危機的状況からの回復を図らせるため,危機的状況に陥った環境とは異なる新しい刺激や環境との関係をクライエントに体験させる方法であり,介入の時期は危機発生の直後を避けることが望ましいとされている。

 

 

 

 

 

正解 (2)

 解 説     

選択肢 1 ですが
行動変容アプローチは、学習理論や行動理論を基盤とするアプローチです。記述は「ナラティブ・アプローチ」についてです。選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2 は妥当です。
問題解決アプローチについての記述です。

選択肢 3 ですが
課題中心アプローチは、リードとエプスタインにより開発され, 心理社会的アプローチ、問題解決アプローチ、行動変容アプローチなどの影響を受けて発達したアプローチです。実用主義的観点から、短期間の計画的な実践を志向している点が特徴です。「長期間にわたって・・・」という部分が明らかに妥当ではありません。選択肢 3 は誤りです。

選択肢 4 ですが
記述はソロモンが導入した「エンパワーメントアプローチ」についてです。解決志向アプローチは、現状の改善に主眼をおき、原因の追求や分析に重点をおかないアプローチです。選択肢 4 は誤りです。

選択肢 5 ですが
危機介入アプローチは、危機状態にある対象者に対し、その状態からできるだけ早く脱出することを目的に、迅速かつ直接的に行われる援助方法です。「危機発生の直後を避けることが望ましい」わけではありません。選択肢 5 は誤りです。

以上より、正解は 2 です。

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