公務員試験 H29年 法務省専門職員 No.37解説

 問 題     

我が国における非行少年の動向に関する記述A〜Dのうち,妥当なもののみを挙げているのはどれか。なお,データは『平成27 年版犯罪白書』による。

A.一般刑法犯の検挙事件のうち,少年のみによる事件(少年の単独犯又は少年のみの共犯による事件)における共犯率は約25 % であり,成人のみによる事件における共犯率と比べて低い。また,少年による一般刑法犯の検挙人員を年齢層*1 別にみると,年長少年が最多となっている。

B.少年鑑別所被収容者の非行名別構成比を男女別にみると,男女共に窃盗が最も高く,次いで詐欺となっているが,女子は男子と比べ,ぐ犯,覚せい剤取締法違反の構成比が顕著に高い。また,少年鑑別所退所者の退所事由別構成比をみると,高いものから,少年院送致,保護観察,検察官送致の順となっている。

C.強姦,強制わいせつにより少年院に入院した者の数の推移を年齢層別にみると,強姦により入院した者の数は平成11 年以降減少傾向にあり,年長少年において特に減少幅が大きい。一方,強制わいせつにより少年院に入院した者の数は,平成7 年以降増加傾向にあり,昭和60(1985)年と比べると,全ての年齢層で増加している。

D.少年院仮退院者について,保護観察開始時の居住状況をみると,「両親と同居」あるいは「母と同居」の者が全体の5 割を超えている。また,保護観察処分少年について,保護観察終了時に無職であった者は,有職又は学生・生徒であった者と比べて,保護処分の取消し*2 で保護観察が終了した者の割合が高い。

*1 14 歳以上16 歳未満の者を「年少少年」,16 歳以上18 歳未満の者を「中間少年」,18 歳以上20 歳未満の者を「年長少年」という。

*2 再非行・再犯により新たな処分を受けたことなどにより,保護処分が取り消されることをいう。

1.A,B
2.A,C
3.A,D
4.B,D
5.C,D

 

 

 

 

 

正解 (5)

 解 説     

記述 A ですが
成人の共犯率と比べ、少年事件の共犯率は約 2 倍です。「成人のみによる事件における共犯率と比べて低い」わけではありません。この知識がなくても、少年が自我の発達過程において、より前段階にいることをふまえ「他の人に影響を受けやすい」といった推測から誤りではないかと判断したい記述です。A は誤りです。これにより、正解は 4 or 5 です。記述 D は正しいとわかります。

記述 B ですが
少年の非行で「詐欺」が2番目に多い、という点は違和感があるのではないでしょうか。男子は傷害・暴行、女子はぐ犯が2番めです。記述 B は誤りです。

記述 C は妥当です。

以上より、正解は 5 です。

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