公務員試験 H29年 法務省専門職員 No.29解説

 問 題     

テスト・バッテリーに関する記述として最も妥当なのはどれか。

1.テスト・バッテリーの組合せとしては,知能検査,質問紙法検査,投映法検査の組合せが一般的である。検査の目的や被検査者の状況によって,実施する検査の数や組合せを変えることは望ましくない。

2.テスト・バッテリーの目的の一つは,ある心理検査で検査者が得た被検査者についての解釈や推測を,他の検査結果から時には否定するなど再検討することによって,より妥当性の高い所見を得ることである。

3.テスト・バッテリーの組合せを検討する上で,当該検査に固有の問題である内的要因と,それ以外の外的要因とに分けて考えることができる。被検査者の体力や精神状態,検査の目的などは外的要因に含まれるが,当該検査の実施に関する習熟度などの検査者側の要因は外的要因には含まれない。

4.シュナイドマン(Shneidman, E. S., 1953)は,人格検査の特性と意識水準の関係を,飛行機・船・潜水艦の図で示した。飛行機で表された質問紙法検査はより意識的レベルに関係し,深層の一次過程を表しているのに対し,潜水艦で表された投映法検査はより無意識的レベルに関係し,防衛的努力を反映しやすいと考えた。

5.一般的に,投映法検査は種類によって反映される心理的側面が違ってくることから,いくつかの投映法検査を実施するのが望ましい。例えば,文章完成法は最も自我機能が低下した場合に表れる側面を,ロールシャッハ・テストは最もよく機能している場合に表れる側面を反映していると位置付けて両者を組み合わせて検討すると,力動的な理解が深まると考えられる。

 

 

 

 

 

正解 (2)

 解 説     

テスト・バッテリーとは、複数の心理検査を組み合わせることです。

選択肢 1 ですが
検査の目的や被検査者の状況によって、実施する検査の数や組み合わせを変えることが一般的です。「検査の数や組合わせを変えることは望ましくない」という記述には違和感を覚えるのではないでしょうか。選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2 は妥当です。

選択肢 3 ですが
当該検査固有の問題以外が「外的要因」であるとするならば、習熟度などの「検査者側の要因」も検査固有の問題ではなく、「外的要因」と考えられます。選択肢 3 は誤りです。

選択肢 4 ですが
「深層の一次過程」を表すのは、飛行機・船・潜水艦であれば「船」と考えられます。選択肢 4 は誤りです。

選択肢 5 ですが
文章完成法は、書く内容を吟味し、判断するといった現実機能が堅持されており、自我機能がよく機能している場合に現れる側面を反映すると考えられます。一方、ロールシャッハテストは、感情や感覚を掻き立て、自我機能が低下した場合に現れる側面を反映すると考えられます。選択肢 5 は誤りです。

以上より、正解は 2 です。

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