公務員試験 H29年 法務省専門職員 No.28解説

 問 題     

投映法に関する記述として最も妥当なのはどれか。

1.文章完成法は,未完成の文章の後半を被検査者に連想させ,文章を完成させる検査である。実施は容易であるものの,比較的深い無意識レベルの側面が反映されやすく,投映法の中でも被検査者への侵襲性が高い検査であるため,個別に実施することが望ましいとされている。

2.PーF スタディで呈示される欲求不満場面は,欲求不満の原因が自分にあり,自分が相手から非難や叱責を受けている自我阻害場面(ego-blocking situation)と,他者又は非人為的な障害が原因となって欲求不満が生じている超自我阻害場面(superego-blocking situation)に大別される。

3.バック(Buck, J. N.)によって考案されたHTP テストは, 1 枚の紙に「家」,「木」,「人物」の全てを描かせるものである。被検査者が絵を描き終わった後に,その絵についての質問(post drawing interrogation:PDI)を行い,解釈の参考とすることとされている。

4.ロールシャッハ・テストでは,まず1 枚目の図版を呈示し,何に見えるかを自由に答えさせ,反応が出終わったら,それぞれの反応について,その反応は図版のどこに,どのように見えたのかを確認するための質問を行う。2 枚目の図版以降も同様の手続を繰り返し,そうして得られた説明を基に,検査終了後に反応の記号化を行う。

5.TAT を考案したマレー(Murray, H. A.)は,その実施方法について,被検査者の性別や年齢に応じ,31 枚の図版の中から選ばれた20 枚の図版を使用することを提唱した。その後,ベラック(Bellak, L.)などにより,適宜図版を選択して実施することが提案されている。

 

 

 

 

 

正解 (5)

 解 説     

選択肢 1 ですが
文章完成法は、書く内容を吟味し、判断するといった現実機能が堅持されており、自我機能がよく機能している場合に現れる側面を反映すると考えられます。「深い無意識レベルの側面が反映されやす」いわけではありません。また「侵襲性が高い」ともいえません。選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2 ですが
P-F スタディで呈示される欲求不満場面が、自我阻害場面と超自我阻害場面に大別されるというのは妥当です。しかし、それぞれの説明が逆です。自我阻害場面が「人為的、非人為的な障害が原因となり、欲求不満が生じている場面」です。超自我阻害場面が「他者から非難・詰問され、超自我(良心)が阻害されて欲求不満が生じている場面」です。選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 ですが
HTP テスト(H:House,T:Tree,P:Person)の内容は、「3枚」の画用紙にそれぞれ家・木・人を書くというものです。「1枚の紙に」ではありません。書き終わった後に質問をする、という記述は妥当です。選択肢 3 は誤りです。

選択肢 4 ですが
ロールシャッハテストは、図版全てに対して、まず自由反応段階を行います。すなわち、図版を1枚ずつ見て、何に見えるかを自由に話してもらう段階です。その後、話した反応について、何がどこになぜ見えたかといった質問段階を行います。1枚ずつ質問するわけではありません。選択肢 4 は誤りです。(類題 H26 no12)

選択肢 5 は妥当です。
マレーらの 考案した TAT(Thematic Apperception Test:主題統覚検査)についての記述です。

以上より、正解は 5 です。

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