問 題
我が国の財政制度に関するA〜Dの記述のうち,妥当なもののみを全て挙げているのはどれか。
A.公共事業費については,公債発行による財源の調達が可能であるが,このとき発行される公債は,別途特例法に基づき発行される必要があることから特例公債と呼ばれる。公共事業費に係る公債発行額及び借入金の額の範囲は,国会での議決を経なければならないとされている。
B.何らかの理由によって国会が年度開始までに本予算を議決するに至らない場合に,内閣は,必要な経費の支出のために,暫定予算を作成し,国会に提出することができる。ただし,当該年度の本予算が成立した場合は,暫定予算は失効し,本予算に吸収される。
C.本予算の執行の過程において,天災地変などにより当初の予算どおり執行することが不可能ないしは不適当となり,必要やむを得ない場合には,国会の議決を経て当初の本予算の内容を変更する予算を組むことがあり,これを補正予算という。補正予算は1 会計年度に2 回以上組まれることもある。
D.予算編成後,情勢の変化などによって,当初予算どおり執行することが不適切となる場合,移用及び流用という制度が認められる。移用とは相互に関連している項と項の間の経費の融通であり,財務大臣の承認を経て認められる。一方,流用とは同一項内の目と目の間の経費の融通であり,移用の場合とは異なり,財務大臣の承認を経る必要はない。
1.A,B
2.A,C
3.A,D
4.B,C
5.B,D
解 説
記述 A ですが
「特例公債」とは、いわゆる赤字国債です。記述は「公共事業費についての公債」なので、「建設国債」と考えられます。赤字国債や建設国債は、「普通国債」の一種です。共に国会の議決は必要です。ちなみに、普通国債の一種で、国会の議決不要である国債が「借換債」です。記述 A は誤りです。
記述 B は妥当です。
暫定予算についての記述です。
記述 C は妥当です。
補正予算についての記述です。
記述 D ですが
移用とは,経費の性質が類似又は相互に関連している項と項との間の経費の融通であり,あらかじめ予算をもって国会の議決を経た場合に限り,財務大臣の承認を経て認められます。また,流用とは,同一項内の目と目との間の経費の融通であり,やはり財務大臣の承認を経て認められます。「承認を経る必要はない」わけではありません。(H28no41)。記述 D は誤りです。
以上より、正解は 4 です。
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