公務員試験 H28年 国家専門職(食品衛生監視員) No.1分析化学Ⅲ(1)(2)解説

 問 題     

(1)
質量分析(マス・スペクトロメトリー)の測定原理と,化合物の分子量及び構造の推定原理を,以下の語句を全て用いて5 行程度で説明せよ。ただし,用いた語句に下線を引くこと。

<語句>電子,イオン化,分子イオン,フラグメントイオン,m/z 比,質量スペクトル


質量分析に用いられる ①,②,③ のイオン化法のうちから二つを選び,それぞれの原理と質量分析における特性を2 行程度で説明せよ。

① 電子イオン化法(EI 法)
② 化学イオン化法(CI 法)
③ 高速原子衝撃法(FAB 法)

 

 

 

 

 

 解 説     

解答例)
質量分析の測定原理は、熱電子をあてる等して試料をイオン化し、分析部においてm/z 比に基づき分離する事により、質量スペクトルを得るというものです。試料化合物がそのままイオン化されたものを”分子イオン”と呼び、分子イオンから分子量が推定されます。また、分子はイオン化の際、断片化されてフラグメントイオンが多数生成されます。このフラグメントイオンの分子量から、化合物の分子構造に関する情報が得られ、構造推定を行うことができます。

EI 法・・・試料を熱で気化させた状態で、熱電子を衝突させることによりイオン化です。試料がフラグメント化しやすいため、分子量が比較的小さい試料に対して用います。

CI 法・・・試料気化と噴霧を行った後噴霧口付近でコロナ放電を起こし周囲に大量に存在する窒素ガスや大気中の水分をイオン化させてこれと試料分子を反応させることによりイオン化する方法です。フラグメンテーションがおきにくいという特徴があります。

FAB 法・・・導電性の溶媒に溶解した試料に高電圧を印加して均一に帯電した微細な液滴として試料溶液を噴霧し液滴中の溶媒を蒸発させ試料分子をイオン化する方法です。試料を気化しないので、熱に不安定な化合物でも測定可能です。

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