公務員試験 H28年 国家一般職(農学) No.36解説

 問 題     

家畜の栄養に関する記述として最も妥当なのはどれか。

1.タンパク質は,ブタなどの単胃動物では,酢酸に分解されて吸収される。ウシなどの反すう動物では,第一胃,第二胃内微生物によって分解・吸収されて微生物のタンパク質となり,この微生物のタンパク質が第四胃で直接吸収される。

2.体内では合成できないか合成しにくいため,動物性のタンパク質を通じて摂取しなければならないアミノ酸を必須アミノ酸といい,リシン,アルギニン,グルタミンなどがある。過剰なアミノ酸は,ビタミンに変換されて体内に蓄積される。

3.家畜の飼料中に多い炭水化物は多糖類のデンプンやセルロースで,単胃動物の場合,セルロースは消化酵素で,デンプンは消化管内細菌によって単糖類に分解されて吸収される。反すう動物の場合,セルロースやデンプンは,第一胃,第二胃で微生物により単糖類に分解されて吸収される。

4.脂質は,体内で分解されて高いエネルギーを出し,生命の維持や活動,体温の維持に役立つ。体内ではエネルギー源となるほか,乳脂肪など生産物の成分となる。過剰な分は体脂肪として蓄積される。

5.飼料の栄養価として我が国で最も広く使用されているのは,可消化養分総量(TDN)である。TDN は,その飼料のタンパク質含量で評価される。TDN は家畜の種類を問わず飼料の種類によって決まる。

 

 

 

 

 

正解 (4)

 解 説     

選択肢 1 ですが
タンパク質は「アミノ酸」に分解されて吸収されます。反すう動物では、第一胃での微生物による分解を経て微生物タンパク質となり、第四胃で吸収されるルートと、ルーメンで分解を受けないタンパク質がペプチドに分解されて第四胃で吸収されるという2種類の吸収経路が併存しています。よって、選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2 ですが
リシンは妥当ですが、アルギニン、グルタミンは必須アミノ酸ではありません。過剰なアミノ酸は「排泄」されます。よって、選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 ですが
単胃動物は、セルロースの分解ができません。また、反すう動物によるセルロースやデンプンの微生物による分解の結果「揮発性脂肪酸」ができます。よって、選択肢 3 は誤りです。

選択肢 4 は妥当な記述です。

選択肢 5 ですが
タンパク質だけでなく、脂肪なども評価に含まれます。よって、選択肢 5 は誤りです。

以上より、正解は 4 です。

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