公務員試験 H28年 国家一般職(農学) No.35解説

 問 題     

畜産物の利用に関する記述として最も妥当なのはどれか。

1.乳等省令*において,アイスクリーム,アイスミルク,ラクトアイスは,製造の方法の基準は異なるが,製品の成分規格は同一に規定されている。また,これらは定められた殺菌方法により加熱殺菌し,生細菌数を0 にしなくてはならないとされている。

2.牛乳中の炭水化物は,ごく少量のブドウ糖などを含むが,ほとんどがショ糖である。タンパク質はグルテンが主成分であるが,それ以外を一括して乳清タンパク質という。乳脂肪は,グリセリド以外に少量のリン脂質,コレステロール,脂溶性ビタミンを含む。

3.乳等省令において,ナチュラルチーズは,乳等の乳酸菌による発酵,酵素による凝乳,塩分の除去が主な工程で,熟成を行うものと行わないものがあるとされている。また,限外ろ過膜を使用して製造したチーズは,ナチュラルチーズと表示できないこととされている。

4.食肉の色はミオグロビンの状況によって変わる。ミオグロビンのヘム色素に含まれる鉄が酸化されてメトミオグロビンとなると褐色を呈する。ハムの製造の際に加えられる硝酸塩,亜硝酸塩は,食肉を鮮赤色に発色させるほか,防腐剤的効果も期待されている。

5.JIS では,ソーセージはひき肉を家畜の腸又はそれに準ずる太さのケーシングに詰めた製品とされている。フランクフルトソーセージは羊腸,ボロニアソーセージは豚腸,ウインナーソーセージは牛腸をそれぞれ用いることとされている。
*正式名称は「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令」

 

 

 

 

 

正解 (4)

 解 説     

選択肢 1 ですが
アイスクリーム、アイスミルク、ラクトアイスという分類は「乳固形分」の割合による区分です。「製品の成分規格が同一に規定」ではありません。よって、選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2 ですが
牛乳中の炭水化物のほとんどは「乳糖(ラクトース)」です。ショ糖ではありません。また、牛乳中の主なタンパク質は「カゼイン」です。よって、選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 ですが
主な工程として「塩分の除去」は妥当ではありません。ナチュラルチーズの製法工程において、熟成を行うものについて殺菌等の目的で「加塩」します。また、限外ろ過膜で先に濃縮してもナチュラルチーズと呼ばれます。よって、選択肢 3 は誤りです。

選択肢 4 は妥当な記述です。

選択肢 5 ですが
羊→ウインナ、豚→フランクフルト、牛→ボロニア です。よって、選択肢 5 は誤りです。

以上より、正解は 4 です。

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