公務員試験 H28年 国家一般職(農学) No.34解説

 問 題     

植物の代謝に関する記述として最も妥当なのはどれか。

1.根粒窒素固定では,根に感染した線虫により土壌中のアンモニアが同化される。根で吸収されたアンモニアは,亜硝酸,硝酸に順次酸化されてグルタミン酸に取り込まれる。

2.呼吸は,ミトコンドリアにおける解糖系や細胞質におけるTCA 回路と電子伝達系など,複数の系で成り立っている。デンプンの分解で生じたブドウ糖は,まずTCA 回路で酸化される。

3.抗酸化物質のグルタチオンは,グルタミン酸,アスパラギン,グリシンの3 アミノ酸からなるペプチドであり,グリシン側鎖の水素原子が酸化還元反応において重要な役割を担っている。

4.トリプトファンの生合成は,細胞内のトリプトファン濃度が上がると加速する。植物ホルモンのうち,トリプトファンを前駆体に生合成されるのはブラシノステロイドである。

5.ATP 合成酵素は,ミトコンドリア内膜や葉緑体のチラコイド膜の内外に形成されたプロトンの濃度勾配を駆動力にATP を合成する。

 

 

 

 

 

正解 (5)

 解 説     

選択肢 1 ですが
根粒菌による窒素固定です。「線虫」によるのではありません。また、窒素固定とは、空気中の、安定で不活性な窒素を、アンモニアなどの活性な化合物に変換することです。よって、選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2 ですが
「まず」、「細胞質」における解糖系です。その後「ミトコンドリア」におけるTCA回路と電子伝達系です。よって、選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 ですが
グルタチオンは、グルタミン酸、「システイン」、グリシンからなるトリペプチドです。システインのチオール残基(ーSH)が重要な役割を担っています。よって、選択肢 3 は誤りです。

選択肢 4 ですが
ブラシノステロイドはメバロン酸を介して合成されます。トリプトファンではありません。よって、選択肢 4 は誤りです。

以上より、1~4誤りなので、正解は 5 です。


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