公務員試験 H28年 国家一般職(農学) No.7解説

 問 題     

農産物の有害物質による汚染と我が国における農産物の安全性を確保するための対策に関する記述 A~D のうち,妥当なもののみを挙げているのはどれか。

A.食品中の放射性物質の基準値は,コーデックス委員会が定めた国際的な指標に沿って,食品から受ける放射線量が年間1 ベクレルを超えないようにとの考え方の下,農林水産省が設定している。例えば,一般食品の放射性セシウムの基準値は100 ミリシーベルト/kg である。

B.放射性物質対策として,農地土壌の除染が行われるとともに,暫定許容値以下の飼料,肥料,土壌改良資材が用いられている。また,イネでは,作付制限,放射性物質の吸収抑制などの対策及び収穫後の検査を組み合わせて安全確保が図られている。

C.土壌汚染の原因となっている有害物質は,鉱山排水・工場廃水が流入した灌漑水,工場のばい煙,重金属類を濃縮した都市の下水汚泥や不要となった工業製品の直接投棄,肥料・農薬などを通じて土壌に混入する。

D.重金属類は,土壌が酸化的条件にあるか還元的条件にあるかによって溶け出し方が異なるため,水稲における吸収を防ぐには,水管理が重要となる。例えば,ヒ素*は,鉄と同様に土壌が酸化的条件になると溶け出しやすくなるが,カドミウムは還元的条件で溶け出しやすくなる。
*ヒ素は本来の重金属ではないが,重金属類という場合には含めて考える。

1.A,B
2.A,C
3.A,D
4.B,C
5.C,D

 

 

 

 

 

正解 (4)

 解 説     

記述 A ですが
食品からの被ばく線量の上限は「年間 1 ミリシーベルト」です。(H24 年から。試験時点の記述)。一般食品の放射性セシウムの基準値は 100「ベクレル/kg」です。(H24 年から。試験時点の記述)。記述 A は、妥当ではありません。

記述 B,C は、妥当な記述です。

記述 D ですが
ヒ素は「アルカリ性で溶出しやすい」、カドミウムは「酸性条件下で溶出しやすい」ことが知られています。ヒ素とカドミウムが逆です。よって記述 D は誤りです。

以上より、妥当な記述は B,C です。正解は 4 です。

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