公務員試験 H28年 国家一般職(農学) No.8解説

 問 題     

イネの形態と生理に関する記述として最も妥当なのはどれか。

1.イネは, 4 ~ 5 日周期で出葉を繰り返しながら成長していき,やがて茎の成長点に幼穂が形成され,栄養成長から生殖成長への転換期を迎える。この時期を最高分げつ期と呼ぶ。この時期に止葉が抽出し,分げつは停止する。

2.イネの栄養成長から生殖成長への転換は,日長8 ~10 時間の短日条件や高温によって促進される。また,基本栄養成長性と呼ばれる一定の主茎長も必要になる。これらの条件は,品種による差はごく小さく,ほぼ共通している。

3.イネの生殖成長期において,穎花分化期,減数分裂期及び開花期は,低温や水分欠乏による障害を起こしやすい時期であり,特に,穎花分化期は,最も影響が大きい時期である。この時期に17 ℃ 以下の低温に遭遇すると,花粉の不形成や異常により,遅延型冷害が発生する。

4.一般に,出穂前7 ~10 日から出穂までを,穂ばらみ期と呼ぶ。圃場全体の有効茎のおおむね40~50 % が出穂した日を出穂期という。同様に10~20 % が出穂した日を出穂始め,約90 %が出穂した日を穂揃期と呼ぶ。

5.イネの茎は節と節間からなる。主稈の節は10 数節あり,栄養成長期間には節間はほとんど伸長しない。生殖成長期に入って下位の節間から急激に伸長を始める。地際から穂先までの長さを稈長と呼ぶ。

 

 

 

 

 

正解 (4)

 解 説     

選択肢 1 ですが
「成長点に幼穂が形成され」る時期は「幼穂分化期」です。この時期は止葉から下へ数えて3枚目の葉が出始めるころです。「この時期に止葉が抽出」という記述は妥当ではないと考えられます。この前後が「最高分げつ期」となります。

選択肢 2 ですが
「基本栄養成長性」とは、最低限必要な栄養成長期の長さのことです。品種により差があります。よって、選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 ですが
冷害は、大きく障害型と遅延型に分類されます。穎花分化期に低温に遭遇すると「障害型」の冷害が発生します。よって、選択肢 3 は誤りです。

選択肢 4 は妥当な記述です。

選択肢 5 ですが
「上位」の節間が急激に伸長します。よって、選択肢 5 は誤りです。

以上より、正解は 4 です。

コメント