公務員試験 H28年 国家一般職(農学) No.2解説

 問 題     

作物の収穫及び乾燥調製に関する記述として最も妥当なのはどれか。

1.コンバインには,大きく分けて自脱型と普通型(汎用型)の2 種類がある。前者は欧米で広く用いられている。後者は,イネの穂先など子実部分のみを機械内に取り込み,脱穀する方式を採用することで,イネ,ムギからダイズ,ソバ,トウモロコシなど広く対応可能である。

2.水稲収穫適期の玄米水分含量は,40 % 前後である。収穫時期は,幼穂形成期からの積算温度でほぼ決定する。このため,登熟期間の気温によって異なってくるが,平均的には,幼穂形成期からの日数で45 日程度とされる。

3.水稲収穫作業後の籾は高水分であり,変質しやすい。また,籾すり作業を効率よく実施するためには,玄米水分を20 % 前後まで低下させる必要がある。なお,急激な乾燥は基白米が発生しやすく,外観品質低下の原因になるので注意が必要である。

4.玄米品質評価基準の一つに外観品質がある。外観品質は,心白米,青米などのように品種特性由来のものと,死米,着色米などのように栽培時に発生するものがある。食味と深く関係しているタンパク質含有率は,高いものほど良食味とされる。

5.カントリーエレベーターは,共同乾燥調製貯蔵施設である。この施設における作業は,籾の乾燥,貯蔵,調製(籾すり,選別)などであり,個別農家に代わって,乾燥以後の作業工程が,出荷も含めて行われる。

 

 

 

 

 

正解 (5)

 解 説     

選択肢 1 ですが
「普通型」が「欧米」で広く用いられています。日本で自脱型が発達したという流れです。普通型は、作物を刈り取って、「作物全体」を脱穀機が通過します。自脱型は、「刈り取った穂先」のみ脱穀機を通過します。こうすることで、茎の部分(稲わら)が使えるなどの利点があります。自脱型は「イネ、麦類」等に用いることができます。広く対応可能なのは、普通型(汎用型)です。よって、選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2 ですが
収穫適期の玄米水分含量は 22~26% 程度です。 40% 前後は少し高すぎると考えられます。よって、選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 ですが
玄米水分「15%前後」まで乾燥します。「20%前後」ではありません。よって、選択肢 3 は誤りです。

選択肢 4 ですが
一般的に「粘りがある方がおいしい」で、「タンパク質が多くなると粘りが弱くなる」です。「タンパク質含有率が高いほど良食味」は誤りです。よって、選択肢 4 は誤りです。

選択肢 5 は妥当な記述です。

以上より、正解は 5 です。
参考)H26no7

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