公務員試験 H28年 国家一般職(化学) No.26解説

 問 題     

緩衝液に関する、次の記述の ㋐、㋑ に当てはまるものの組合せとして最も妥当なのはどれか。

「0.10 mol の酢酸と、0.10 mol の酢酸ナトリウムの混合物を水に溶かし全体を 1.0 L とした緩衝液がある。酢酸の解離定数 Kを 1.8×10-5 mol・L-1 とするとこの緩衝液の水素イオン濃度は ( ㋐ ) mol・L-1 となる。

また、この緩衝液 1.0 L に水酸化ナトリウムを 0.01 mol加えて均一になるまで撹拌すると水素イオン濃度は ( ㋑ )mol・L-1 となる。ただし加えた水酸化ナトリウムの体積は無視できるものとする。」
 
  ㋐     ㋑
1.0.1      1.5×10-6
2.1.8×10-6  1.5×10-7
3.1.8×10-6  1.5×10-7
4.1.8×10-5  1.5×10-6
5.1.8×10-5  1.5×10-5

 

 

 

 

 

正解 (5)

 解 説     

緩衝液 と来たので、ヘンダーソン・ハッセルバルヒの式とりあえず思い出しておきます。「pH = pKa + log[ ] / [ ]」という形が最悪思い出せればなんとかなることが多いです。log の所は 「酸性緩衝液」においては、上がイオン形、下が分子形です。

CH3COOH ⇄ CH3COO + H+ ですが、ほとんど酢酸 → ほとんど分子形 と考えます。同様に、CH3COONa → CH3COO + Na+ です。ほとんどイオン形 と考えます。

酢酸 及び 酢酸ナトリウムが 0.1 mol なので、分子形、イオン形の所に 共に0.1 を代入すると約分されて 1 になります。log1 = 0 となるので、pH = pKa です。よって、[H+]= Ka とわかります。従って、水素イオン濃度は 1.8 × 10-5 とわかります。正解は 4 or 5 です。

さて、緩衝液 1L に NaOH 0.01 mol を加えています。緩衝液なのでpH の変動はかなりマイルドに抑えられます。今の pH は大体 4.7 と考えられます。※ log102 = 0.3 は覚えている設定です。pH が 6 まで上がってしまう 選択肢 4 は誤りと判断できるのではないでしょうか。

以上より、正解は 5 です。

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