公務員試験 H28年 国家一般職(化学) No.27解説

 問 題     

赤外分光に関する、次の記述の㋐、㋑、㋒に当てはまるものの組合せとして最も妥当なのはどれか。

「赤外領域の、電磁波吸収の基となる遷移としては、分子振動や ( ㋐ ) のエネルギー準位間のものがある。また、分子振動のうち赤外吸収を起こすのは、振動によって分子全体の ( ㋑ ) が変化する場合であり、そのとき分子振動と等しい振動数の赤外線が吸収される。炭素-炭素結合の伸縮振動によって吸収される赤外線については、単結合より二重結合の方が振動数は ( ㋒ ) なる。」

 
結晶の格子振動 電気双極子モーメント 小さく
結晶の格子振動 電気双極子モーメント 大きく
結晶の格子振動 分極率 大きく
双極子の配向 電気双極子モーメント 小さく
双極子の配向 分極率 小さく

 

 

 

 

 

 

正解 (2)

 解 説     

IRの特性吸収を思い出して、㋒ から判断するとよいです。
C-C → C=C → C≡C と、結合が二重結合、三重結合となるにつれて波数が大きい方に吸収ピークが出てくることは基礎知識です。すると、波数が大きい = 振動数が大きい です。なぜなら、波数とは1cm あたりに波が何個あるか であるため波数が大きければその分波波しているからです。波波している、というのは振動数が大きいことにほかなりません。従って、正解は 2 or 3 です。

また、赤外吸収がおきる際、分子全体の「双極子モーメント」が変化します。ちなみに「分極率」が変化するのは「ラマン分光」においてです。

以上より、正解は 2 です。

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