公務員試験 H28年 国家一般職(化学) No.16解説

 問 題     

ルイス酸の酸性度に関する、次の記述の㋐、㋑、㋒に当てはまるものの組合せとして最も妥当なのはどれか。

「ルイス酸として働く原子に、置換基がついている場合、置換基の電子吸引の程度が強いほど、中心原子の電子密度が減少しその酸性は強くなる。したがって四ハロゲン化スズでは、ルイス酸性の強さは、( ㋐ )となる。また、B(CH3)とBHでは、ルイス酸性の強さは、( ㋑ )となる。

一方、三ハロゲン化ホウ素では、ホウ素の 2p 軌道とハロゲンの p 軌道との間に π 結合が形成される。強いπ結合が形成されると、ルイス酸性は弱くなるためこれらのルイス酸性の強さは( ㋒ )となる。」

 
1 SnF4>SnCl4>SnBr4 B(CH3)3>BH3 BF3>BCl3>BBr3
2 SnF4>SnCl4>SnBr4 B(CH3)3<BH3 BF3>BCl3>BBr3
3 SnF4>SnCl4>SnBr4 B(CH3)3<BH3 BF3<BCl3<BBr3
4 SnF4<SnCl4<SnBr4 B(CH3)3>BH3 BF3<BCl3<BBr3
5 SnF4<SnCl4<SnBr4 B(CH3)3<BH3 BF3>BCl3>BBr3

 

 

 

 

 

 

正解 (3)

 解 説     

㋐ですが
ハロゲンの中で電子吸引の程度が
一番強いのは F です。従って、SnF4 が一番酸性の強さが大きくなります。正解は 1~3 です。

㋑について
アルキル基が「電子供与」である点が基礎知識です。つまり、メチル基がついた方がルイス酸性の強さは弱くなると考えられます。正解は 2 or 3 です。

㋒ですが
結合形成に関与するのは最外殻電子です。そして、ホウ素の 2p 軌道と、ハロゲンの p 軌道の間で π 結合が形成される ということなので「同じ 2p 軌道同士」が一番がっちり軌道同士が相互作用して安定すると考えられます。すると F の最外殻電子が 2p です。Cl や Br はもっと外側の p 軌道が最外殻です。よって、BF3 の酸性度が小さくなります。

以上より、正解は 3 です。

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