公務員試験 H28年 国家一般職(化学) No.15解説

 問 題     

気体分子 A と気体分子 B が発熱反応して、気体分子 C を生成する、次の可逆反応を考える。

容積を変えられる密閉容器に、A 及び B を入れ、ある体積、温度及び圧力に保ったところ、C が生成し、平衡状態となった。この平衡状態に対し ㋐ ~ ㋓ の操作を行ったとき、操作とそれに伴う C の量の変化の組合せとして最も妥当なのはどれか。ただし、全ての気体は理想気体の挙動を示すものとする。

㋐ 温度を上げるが、全圧が変わらないよう容積を増やす。
㋑ 温度は変えないまま容積を減らし、全圧を上げる。
㋒ 反応を加速する触媒を少量添加する。容積を触媒の体積分だけ増やし温度、全圧は変えない。
㋓ ヘリウムガスを加えるが、容積を増やし、温度、全圧は変えない。
 
  Cが減少する Cの量は変わらない Cが増加する
1.   ㋐      ㋒、㋓     ㋑
2.   ㋐      ㋓       ㋑、㋒
3.   ㋐、㋓    ㋒       ㋑
4.   ㋑      ㋒、㋓     ㋐
5.   ㋑、㋓    なし      ㋐、㋒

 

 

 

 

 

正解 (3)

 解 説     

ルシャトリエの原理についての理解が問われています。ルシャトリエの原理とは「平衡状態にある可逆反応において条件を変化すると、その変化を和らげるような方向に平衡は移動する」という原理です。

この反応における正反応、つまり右側に進む反応に注目すると、A+B → C となっています。係数に注目すると「左辺が 1+1 = 2」,「右辺が 1」です。「係数が減る」ので体積は減る反応です。圧力も減ります。また、問題文より、「右側に進むと発熱」します。以上をふまえて、各操作について検討します。

操作 ㋐ は、要するに温度を上げています。温度が上がらないように平衡は移動します。よって「左に移動」です。C は減少します。

操作㋑は、要するに圧力を上げています。圧力が下がるように平衡は移動します。よって「右に移動」です。Cは増加します。

操作㋒は、触媒の添加だけなので平衡は移動しません。Cは変わりません。

操作㋓は、希ガスの添加です。全圧が変わっていないことから各気体成分の分圧は減ります。よって圧力が上がるように平衡は移動します。つまり左に移動です。C は減少します。
 
以上より、C が減少するのが、㋐、㋓です。変わらないのが㋒です。C が増加するのが㋑です。正解は 3 です。
 
類題 H27no32(一般職教養)

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