公務員試験 H28年 法務省専門職員 No.35解説

 問 題     

我が国の特別支援教育に関する記述として最も妥当なのはどれか。

1.特別支援学級とは,視覚障害者,聴覚障害者,知的障害者,情緒障害者等に対して,幼稚園,小学校,中学校,高等学校に準ずる教育を施すことを目的とする学級である。学校教育法において,特別支援学級は,地域の特別支援教育の中心的機能を担い,都道府県にその設置義務があると規定されている。

2.教育支援センター(適応指導教室)とは,不登校の児童生徒の学校復帰を支援することを目的として,教育委員会が学校以外の場や学校の空き教室等に設置する施設のことである。不登校など不適応状態にある児童生徒に対し,相談・指導を行い,様々な活動を通じて,主体性,協調性,欲求不満耐性などを養う。

3.通級による指導とは,小・中学校の特別支援学級に在籍している児童生徒が,自立活動を始めとする障害に応じた指導を特別支援学級で受けながら,音楽など特定の教科を通常学級に通って指導を受けることである。

4.統合教育(インテグレーション)とは,障害のある児童生徒と障害のない児童生徒という区別をなくし,両者が共に学ぶ一元的な教育システムのことである。2014(平成26)年に発効した児童の権利に関する条約によれば,統合教育を推進するためには,障害のある者が教育制度から排除されないことや障害のある者にとって必要な合理的配慮がなされること等が必要とされている。

5.教育におけるノーマライゼーションとは,学校教育において,障害のある児童生徒と障害のない児童生徒を明確に区別し,障害特性に応じた教育を通常教育と分離して行うことで,個々の障害を克服させ,社会参加の条件に適合する力を修得させる教育のことである。

 

 

 

 

 

正解 (2)

 解 説     

選択肢 1 ですが
学校教育法によれば、設置可能であると定められています。「設置義務がある」と規定されているわけではありません。選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2 は妥当です。
教育委員会が設置する教育支援センターです。

選択肢 3 ですが
各教科等の授業は通常の学級で行いつつ、障害に応じた特別の指導を「通級指導教室」で行う特別支援教育の一つの形態です。 「特定の強化を通常学級に通って指導を受けること」ではありません。選択肢 3 は誤りです。

選択肢 4 ですが
「児童の権利に関する条約」は 1990 年に発効されています。選択肢 4 は誤りです。

選択肢 5 ですが
「ノーマライゼーション」が「明確に区別」するという記述は、明らかに誤りと判断できるのではないでしょうか。ノーマライゼーションとは「障害者が、普通(ノーマル)の生活ができるような環境整備を目指す理念のことです。選択肢 5 は誤りです。

以上より、正解は 2 です。

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