公務員試験 H28年 法務省専門職員 No.36解説

 問 題     

我が国の教育法規に関する記述として最も妥当なのはどれか。

1.日本国憲法においては,学校の公平性及び中立性を守る観点から,公立学校における一切の政治教育及び宗教教育を禁止しているが,私立学校においてはこの限りではなく,一定の範囲内での政治教育及び宗教教育が認められている。

2.教育基本法は,全ての国民が,その個性及び社会的地位に応じ,その保護する子女に教育を受けさせる義務を負うこと及び義務教育の無償を規定している。義務教育の無償に関しては,国又は地方公共団体の設置する小・中学校では,授業料,教科書代及び給食費は徴収されない。

3.教育基本法においては,法律に定める学校は,公の性質を有するものであることから,国及び地方公共団体のみがこれを設置することができるとされており,その他のいかなる団体も設置主体となることはできないと規定されている。

4.学校教育法においては,子供の教育については学校が第一義的責任を有するものであり,学校教員が,生活のため必要な習慣を身に付けさせ,自立心を育成し,心身の調和のとれた発達を図るよう努めるものとされている。それに対して,父母その他の保護者は,家庭教育においてその補助的役割を行うとされる。

5.学校教育法においては,病弱,発育不完全その他やむを得ない事由のため,就学困難と認められる児童生徒の保護者に対しては,市町村の教育委員会は,文部科学大臣の定めるところにより,その子に義務教育を受けさせる義務を猶予又は免除することができるとされている。

 

 

 

 

 

正解 (5)

 解 説     

選択肢 1 ですが
憲法において「政治教育・・・を禁止している」わけではありません。選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2 ですが
授業料、教科書代は無償ですが、給食費は有償です。徴収されます。選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 ですが
もしこの選択肢が正しいとすれば、私立学校があることと矛盾します。教育基本法 6 条によれば、法律に定める学校は、公の性質を有するものであって、国、地方公共団体及び法律に定める法人のみが、これを設置することができる とあります。選択肢 3 は誤りです。

選択肢 4 ですが
教育基本法第 10 条によれば、子の教育に第一義的責任を負うのは父母その他の保護者です。「父母その他の保護者」が「補助的役割」というのは誤りです。選択肢 4 は誤りです。

選択肢 5 は妥当な記述です。

以上より、正解は 5 です。

コメント