公務員試験 H28年 国家一般職(行政) No.13解説

 問 題     

学問の自由及び教育を受ける権利に関するア〜オの記述のうち,判例に照らし,妥当なもののみを全て挙げているのはどれか。

ア.憲法第23 条の学問の自由は,学問的研究の自由とその研究結果の発表の自由を含み,学問の自由の保障は全ての国民に対してそれらの自由を保障するとともに,大学が学術の中心として真理探究を本質とすることから,特に大学におけるそれらの自由を保障することを趣旨とする。

イ.大学における学生の集会について,大学の許可した学内集会は,真に学問的な研究とその結果の発表のためのものでなくても,実社会の政治的社会的活動に当たる行為をする場合には,大学の有する特別の学問の自由と自治を享有する。

ウ.普通教育における学問の自由については,教師が公権力によって特定の意見のみを教授することを強制されない必要があることから,大学教育と同様,普通教育における教師にも完全な教授の自由が認められる。

エ.憲法第26 条の規定の背後には,国民各自が,成長し,発達し,自己の人格を完成,実現するために必要な学習をする固有の権利を有すること,特に,自ら学習することのできない子供は,その学習要求を充足するための教育を自己に施すことを大人一般に対して要求する権利を有するとの観念が存在すると考えられる。

オ.憲法は,子女の保護者に対して普通教育を受けさせる義務を定めていることから,憲法の義務教育を無償とする規定は,教育の対価たる授業料及び教科書その他教育に必要な費用を無償としなければならないことを定めたものと解すべきである。

1.ア,イ
2.ア,エ
3.イ,オ
4.ウ,エ
5.ウ,オ

 

 

 

 

 

正解 (2)

 解 説     

記述 ア は妥当です。
ポポロ事件の判例によれば、憲法 23 条 学問の自由は、研究の自由に加え、発表の自由を含み、また、大学が学術の中心であり真理探求を本質とするから、特に大学におけるそれらの自由を保障することが趣旨と述べられています。

記述 イ ですが
ポポロ事件の判例において「実社会の政治的社会的活動にあたる行為をする場合には、大学の有する特別の学問の自由と自治は享有しない」と述べられました。記述 イ は誤りです。

記述 ウ ですが
旭川学テ事件の判例によれば、「普通教育における教師に対する教授の自由は、一定の範囲に限られ、完全な教授の自由は認められません」。記述 ウ は誤りです。

記述 エ は妥当です。
旭川学テ事件の判例です。(参考 H26no13)。

記述 オ ですが
憲法が保障するのは「授業料の無料」です。教科書の無償については、法律で定められています。記述 オ は誤りです。

以上より、正解は 2 です。

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