公務員試験 H28年 国家一般職(行政) No.3解説

 問 題     

我が国の選挙に関する次の記述のうち,妥当なのはどれか。

1.衆議院議員総選挙の小選挙区比例代表並立制においては,衆議院の定数475 議席のうち,295 議席は小選挙区から選出され,残りの180 議席は比例代表で選出される。小選挙区制では大政党が有利になる一方,比例代表制では小政党でも候補者を当選させることができるため,小選挙区比例代表並立制は,大政党と中小政党間の議席配分上のバランスをとる側面がある。

2.衆議院議員総選挙の小選挙区比例代表並立制においては,重複立候補制が採用されている。これは,立候補した者は自動的に小選挙区と比例区の両方に立候補したこととされる制度である。比例区では名簿に優先順位を付けることはできず,小選挙区で落選した候補者の中で惜敗率の高い候補者から順に当選することとなる。

3.平成25(2013)年,公職選挙法の一部を改正する法律が成立し,インターネットを使用した選挙運動が解禁された。これにより,候補者や有権者は,ウェブサイト等及び電子メールを利用した選挙運動ができることとなった。また,成立当初はインターネットを使用した投票は行うことができなかったが,マイナンバーの運用開始に伴い,インターネットを使用した投票が解禁された。

4.平成27(2015)年,公職選挙法の一部を改正する法律が成立し,参議院選挙区選出議員の選挙について,東京都・愛知県・福岡県等で定数の削減を行うとともに,新潟県・長野県等で定数の増加が行われた。これは主に,選挙区間において議員一人当たりの人口に不均衡が生じている,いわゆる一票の格差の状況を是正するために行われた。

5.平成27(2015)年,公職選挙法等の一部を改正する法律が成立し,公職選挙法,地方自治法に規定する選挙権年齢及び被選挙権年齢について,20 歳以上から18 歳以上への引下げの措置が講じられた。法律上の成年年齢等について整合性を図るため,同年,民法,少年法の成年年齢等についても18 歳に引下げが行われた。

 

 

 

 

 

正解 (1)

 解 説     

選択肢 1 は妥当です。
衆議院議員総選挙の小選挙区比例代表並立制についての記述です。

選択肢 2 ですが
小選挙区比例代表並立制においては、重複立候補制が採用されています。重複立候補制とは、複数の選挙に同時に立候補することを認める選挙制度のことです。「自動的に・・・両方に立候補したこととされる制度」ではありません。選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 ですが
インターネットを使用した「投票」はまだ実現していません。また、電子メールによる選挙運動は、候補者、政党に限り利用できます。一般有権者には認められていません。選択肢 3 は誤りです。(H26no4)

選択肢 4 ですが
格差是正のため、議員の定数を「人口が多いところで増やし、人口が少ない所で減らし」ました。正確に覚えていなくても、東京、愛知、福岡では「定数の増加」が、新潟や長野であれば「定数の削減」が行われたのではないかと考えたい記述です。選択肢 4 は誤りです。

選択肢 5 ですが
民法や少年法の成年年齢については、本試験時点ではまだ引き下げられておらず、整合性はとれていません。選択肢 5 は誤りです。

以上より、正解は 1 です。

コメント