公務員試験 H27年 国家専門職(教養) No.37解説

 問 題     

近・現代の西洋の哲学者に関する記述として最も妥当なのはどれか。

1. プラグマティズムの代表的な哲学者であるフーコーは『言葉と物』などを著した。彼は人は一人で存在しているのではなく他者との関係の中で存在していることから自分を広く社会へと関わらせること(アンガージュマン)の大切さを説いた。

2. 実存主義の代表的な哲学者であるニーチェは『ツァラトゥストラはこう語った』などを著した。彼はニヒリズムを説きヨーロッパ文明の価値の支柱であるキリスト教と対決して「神は死んだ」と宣言し神に代わるものとして超人を示した。

3. 道具主義の代表的な哲学者であるベンサムは『道徳および立法の諸原理序説』などを著した。彼は人間の知性を環境へよりよく適応するための最も優れた道具の一つであると考えこのような道具として役立つ創造的知性によって社会を改良していくことなどを主張した。

4. 実証主義の代表的な哲学者であるデューイは『哲学の改造』などを著した。彼は最善の行為とはできるだけ多くの人々にできるだけ多くの幸福を生み出す行為であるとしそのような最大多数の最大幸福を社会が目指すべき目標であると考えた。

5. 構造主義の代表的な哲学者であるサルトルは『第二の性』などを著した。彼は人間の内面的意識を拘束する社会の規範構造を明らかにすることによってそれにとらわれた自我を解放し自由に思考する知性を備えた真の自己を回復しようとした。

 

 

 

 

 

正解 (2)

 解 説     

選択肢 1 ですが、フーコーはポスト構造主義者に分類されます。プラグマティズムの代表的な哲学者は、パース、ジェームス、デューイ等です。よって、選択肢 1 は誤りです。また、「アンガージュマン」は、サルトルら実存主義作家の唱える態度のことです。

選択肢 2 は、妥当な記述です。

選択肢 3 ですが、ベンサムは、量的功利主義です。よって、選択肢 3 は誤りです。

選択肢 4 ですが、「最大多数の最大幸福」というキーワードはベンサムです。よって、選択肢 4 は誤りです。

選択肢 5 ですが、サルトルは実存主義です。構造主義の代表的な哲学者は レヴィ=ストロース などです。

以上より、正解は 2 です。

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