公務員試験 H27年 国家専門職(教養) No.34解説

 問 題     

江戸幕府が行った政策に関する記述として最も妥当なのはどれか。

1. 新井白石は正徳の治において大名から石高1万石について100石を臨時に幕府に献上させる上げ米を実施しその代わりに参勤交代の江戸在住期間を半減させる政策を行おうとしたが大名らに反対されて実施できなかった。

2. 徳川吉宗は享保の改革において繰り返し大火に見舞われた江戸の消火制度を強化するために町方独自の町火消を組織させるなど積極的に江戸の都市政策を行った。また改革の末期にはそれまでの幕府法令を集大成した武家諸法度を初めて制定した。

3. 田沼意次は印旛沼・手賀沼の大規模な干拓工事を始めるなど新田開発を積極的に試みた。また最上徳内らを蝦夷地に派遣してその開発やロシア人との交易の可能性を調査させた。その後徳川家治が死去すると老中を罷免され失脚した。

4. 松平定信は寛政の改革において困窮する旗本・御家人を救済するために米の売却などを扱う札差に貸金を放棄させる相対済し令を出した。また蘭学を正学とし湯島聖堂の学問所で蘭学以外の講義や研究を禁じた。

5. 水野忠邦は天保の改革において幕府財政の行き詰まりを打開するために年貢増徴だけに頼らず民間の商業資本を積極的に利用しようとした。そして都市や農村の商人・職人の仲間を株仲間として広く公認し運上や冥加など営業税の増収を目指した。

 

 

 

 

 

正解 (3)

 解 説     

選択肢 1 ですが、「上げ米」は、8 代吉宗の享保の改革の財政対策です。新井白石ではありません。よって、選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2 ですが、武家諸法度は、大名統制法規です。最初は 2 代秀忠の時期、1615 年の元和令です。よって、選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 は、妥当な記述です。

選択肢 4 ですが、松平定信が出したのは、「相対済し令」ではなく「棄捐令」です。また、朱子学を正学としました。よって、選択肢 4 は誤りです。

選択肢 5 ですが、水野忠邦による天保の改革では、物価引き下げを狙い、独占廃止のため株仲間の解散を試みました。よって、選択肢 5 は誤りです。

以上より、正解は 3 です。

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