公務員試験 H27年 国家一般職(化学) No.38解説

 問 題     

ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)に関する ㋐~㋓ の記述のうち妥当なもののみを挙げているのはどれか。

㋐ NAD は、アデニン部分が酸化又は還元されることによって酵素反応に補酵素として関与する。

㋑ NAD が酸化型から還元型へ変化すると、紫外吸収スペクトルが変化する。このことは NAD を補酵素とする酵素反応の測定に利用される。

㋒ アルコールデヒドロゲナーゼは、NAD を補酵素としておりこの酵素の反応によってエタノールが生じる場合には NAD は、還元型に変化する。

㋓ NAD のアデニン部分に、リン酸が結合した化合物 (NADP) も酸化還元反応の補酵素として機能するが NAD に比べて生合成反応に関与することが多い。

1.㋐、㋑
2.㋐、㋒
3.㋑、㋒
4.㋑、㋓
5.㋒、㋓

 

 

 

 

 

正解 (4)

 解 説     

記述㋐ですが
ニコチンアミド部分」です。

記述㋑は、正しい記述です。

記述㋒ですが
アルコールデヒドロゲナーゼは、アルコール脱水素酵素とも呼ばれ、アルコール→アルデヒド という反応の触媒、すなわち「脱水素による酸化」 を行う酵素です。一方で、この反応は可逆反応であり、アルコール発酵においては、アルデヒドからアルコールへの逆反応を触媒します。「エタノールが生じる」のは、アルデヒド→アルコール の場合です。

この場合は「相手を還元」するため、「自分は酸化」されます。よって、NADは「酸化型」に変化します。いいかえれば、NADH→NAD+ へと変化します。「還元型に変化する」という記述は明らかに誤りです。従って、記述 ㋒ は誤りです。
 
以上より、妥当な記述は ㋐、㋓ です。正解は 4 です。

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