公務員試験 H27年 法務省専門職員 No.8解説

 問 題     

WISC – Ⅳ (ウェクスラー児童用知能検査)に関する記述として最も妥当なのはどれか。

1. WISC – Ⅳ からの改訂により、実施及びアセスメントの手順が簡略化され、短期間の訓練を受けた者であれば本検査を実施できるようになった。また、検査者は、受検者やその保護者に検査結果の理解を促すために、記録用紙を提示して概要を説明することが可能となった。

2. 本検査の対象は、5歳0か月から17歳11か月までの子どもとされている。WPPSI – Ⅲ (ウェクスラー幼児用知能検査)の適用範囲と一部重なる年齢があるが、小学校に就学している場合は WISC – Ⅳ を実施することとされている。

3. 本検査の下位検査は、基本的には5歳0か月に対応する問題から開始し、検査対象者の年齢に対応する問題まで実施することとされている。ただし、例外として、「符号」と「記号探し」については、常に検査対象者の年齢に対応した問題を実施する。

4. 本検査は 15 の下位検査で構成されるが、合成得点を求めるために通常実施されるのは10の基本検査である。実用上又は臨床上の理由により、検査者は補助検査を実施することもできる。例えば、運動障害のある子どもの場合、「積木模様」の代わりに「絵の完成」を実施してもよいとされている。

5. 本検査の結果の解釈手順は、まず全検査 IQ により検査対象者の全体的な知的水準を把握し、続いて言語性 IQ と動作性 IQ との差について検討する。次に、四つの指標得点間の差を検討した後、下位検査のプロフィール分析を行っていく。

 

 

 

 

 

正解 (4)

 解 説     

ウェクスラー児童用知能検査は、ビネー式とは異なり、知能を多因子構造としてとらえた知能検査ですWISC – Ⅳ は、WISC-III の改訂版です。 下位検査の削除、増加などが行われ、検査構成が変化しました。特に言語性と動作性 の区別がなくなっているのが特徴です。

5 歳 0 カ月~16 歳 11 カ月が対象で、全 15 の下位検査(基本検査:10、補助検査:5)構成です。10 の基本検査実施で、5 つの得点(全検査 IQ + 4つの指標得点)が算出されます。

選択肢 1 ですが
実施やアセスメントが「簡素化」されたわけではありません。選択肢 1 は誤りと考えられます。

選択肢 2 ですが
「16 歳 11 ヶ月」です。また、WPPSI – Ⅲ と一部重なるのはその通りですが、どちらを利用するかは、対象時の認知能力が考慮されるため「小学校に就学→WISC – Ⅳ」と決まるわけではありません。選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 ですが
ビネー式とは異なり、年齢段階別問題ではありません。選択肢 3 は誤りです。

選択肢 4 は妥当な記述です。

選択肢 5 ですが
「言語性 IQ、動作性 IQ」は WISCーⅣでは区別されません。選択肢 5 は誤りです。

以上より、正解は 4 です。

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