公務員試験 H27年 国家一般職(行政) No.34解説

 問 題     

A、Bの二人からなる社会を考える。この二人の公共財に対する限界評価が、それぞれ以下の式で表されているとする。

VA = 100- QA  (QA  ≧ 100のとき、VA  = 0)
VB = 80- 2QB  (QB ≧ 40のとき、VB = 0)

ただし、VA はAの限界評価、VB はBの限界評価、QA はAの公共財の消費量、QB はBの公共財の消費量である。

このとき、公共財の限界費用 (MC) が、⑴ 90のときと、⑵ 30のときのそれぞれのパレート最適な公共財の水準の組合せとして妥当なのはどれか。

⑴ ⑵
1. 5 30
2. 10 30
3. 30 30
4. 30 60
5. 30 70

 

 

 

 

 

正解 (5)

 解 説     

公共財とは、各個人が共同で消費するもので、消費が非競合的であるという特徴があります。単純な需要と供給の関係とはならないものです。代表例は、消防や警察です。限界評価とは、「限界」を無視して、評価と考えればよいです。すなわち、消費量に対する感覚的な価値というイメージです。

公共財には、消費量が多くなると「フリーライド」、すなわち、評価 V = 0 が出てくるという特徴があります。水道や警察はあまりにもあるのが当たり前すぎて、空気的である場合が V = 0 というイメージです。

公共財の問題を解く際、重要ポイントは3つです。1つ目は、「公共財は等量消費される」です。消防や警察を考えるとよいのですが、お金をいっぱい出したら、消防や警察を特別多く使えるわけではない、ということです。本問において、QA = QB = Q と考えることになります。2つ目は、「公共財の社会的評価は、各個人の限界評価の和になる」です。3つ目は、「最適水準において、社会的評価=限界費用」です。

ポイント 1 より、QA = QB = Q とします。社会的評価を考えるため、個人の限界評価の和である VA + VB を計算します。VA + VB = 180 ー 3Q です。(1) の条件において、社会的評価=限界費用 という式を考えると、180 ー 3 Q = 90 です。従って、Q = 30 です。

同様に、(2) の条件において 社会的評価=限界費用 という式を考えると、180 ー 3 Q = 30 です。Q = 50・・・あれ?選択肢にない・・・と思ったはずです。(これはとてもやさしい問題作成者なんだと思います。僕なら引掛け選択肢として、(1) 30、(2) 50 を用意します。)

問題文をもう一度確認すると、QB ≧ 40 の時、VB = 0 でした。Q ≧ 40 の時は、社会的評価が変わっています。すなわち、VB = 0 となるから、社会的評価は VA + VB = VA + 0 = 100 ー QA です。QA = Q として「社会的評価=限界評価」という式を考えると、100 ー Q = 30 です。これを解けば、 Q = 70 となります。

以上より、正解は 5 です。

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