公務員試験 H27年 国家一般職(行政) No.35解説

 問 題     

リカードの比較生産費説に基づいて、2国A、B及び2財 x,y からなる経済を考える。生産要素は労働のみであり、各国における各財1単位当たりの生産に必要な労働量は以下の表のように示される。また、2財 x,y は両国間で自由に取引され、国際市場は競争的であるとする。両国間で労働の移動はないものとする。

このとき次の2財の価格比 Px/Py の組合せのうち、いずれの価格比も両国間に貿易が生じる範囲内にあるものはどれか。ただし2財 x,y の価格は、それぞれPx、Py である。

 

 

 

 

 

正解 (5)

 解 説     

「比較生産費説」とは、各国が比較優位ある財の生産に特化し、輸出入しあうことで、互いに貿易利益を享受できる、という説です。

比較優位ある財とは、他国と比較した時に生産に向いている財です。具体的にはどのように求めるかというと、必要労働量を割り算して出てきた数値を見て決めます割り算した値を国同士で比較して、小さい方が比較優位ある財です。本問の表を例にあげます。

A 国に注目すると、x,y を 1 単位生産するのに労働力が 4,6 とあります4 ÷ 6、6 ÷ 4 をそれぞれ計算して数値を出す、ということです。同様に、B 国に注目すると、x,y  を 1 単位生産するのに労働力が 10,5 とあります。従って、10 ÷ 5、5 ÷ 10 を計算します。なんでこんな操作をしているかというと、比較優位ある財を見つけるためです。

それぞれの値を国同士で比較すると、x ÷ y については A 国の方が値が小さいため、x は、A 国が比較優位ある財です。y ÷ x については B 国の方が値が小さいため、y は、B 国が比較優位ある財です。「比較優位ある財」とは「生産が比較的得意」と考えるといいです。表にまとめると、以下のようになります。

先程求めた x ÷ y や、y ÷ x のことを「相対価格」といいます。貿易が生じる条件である『交易条件』は、『価格比が各国の相対価格の範囲内』です。これは知識として覚えておきましょう。本問であれば、Px/Py は、x 財の価格比なので、x の相対価格である 2/3 と 2 で挟んだ不等式を考えます。すなわち、2/3 < Px/Py < 2 を満たせば、交易条件を満たす、ということです。選択肢 を検討すると、1/2 や 2/5 は満たしません。従って、 選択肢 1 ~ 4 は誤りです。

以上より、正解は 5 です。

ちなみに、もし Px/Py が 2/3 より小さかったり、2 よりも大きかったりするとどうなるかというと、 異常に一方の財が高くて儲かるので、どちらの国もとにかくそれだけ作ります。また、貿易なんてせず、自国で売買するという状況になります。

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