公務員試験 H26年 国家一般職(化学) No.38解説

 問 題     

ミカエリス・メンテン型の酵素反応では、酵素 E と基質 S が会合して反応物 P を生成する。あるミカエリス・メンテン型酵素反応の反応速度 V を基質濃度 [S] に対してプロットしたところ図の a の曲線となった。またこの反応系に化合物 X を加えたところ図の b の曲線となった。この反応に関する記述 ㋐ ㋑ ㋒ のうちから妥当なもののみを全て選び出しているのはどれか。

㋐ 基質濃度がミカエリス定数 Km に等しいときの反応速度は、この反応の最大速度 Vmax の 1/2 に相当する。
㋑ 基質濃度が十分低いとき、反応速度は基質濃度にほぼ比例する。
㋒ 化合物 X による阻害は競争的阻害であり、酵素の活性中心に化合物 X が基質や補酵素と競争的に結合することにより表れる。

1. ㋐
2. ㋐ ㋑
3. ㋐ ㋒
4. ㋑
5. ㋑ ㋒

 

 

 

 

 

正解 (2)

 解 説     

記述㋐は正しい記述です。
ミカエリス定数 Km は Vmax の ちょうど半分になる時の基質濃度と一致します。これは、ミカエリス・メンテン式:V=Vmax[S]/(Km+[S])  において、[S] = Km として代入すると、V = 1/2 Vmax となることから確認することができます。

記述㋑は、正しい記述です。
[S] が十分小さい時 V = Vmax[S]/(Km+[S]) において、分母の 「+[S]」 が無視できるため、V ≒ Vmax[S]/Km と近似できます。従って、反応速度がほぼ基質濃度に比例するといえます。

以上より正解は 2 です。

ちなみに、記述 ㋒ ですが
基質濃度[S]が大きくなっても V が Vmax に至らないため「非」競合的阻害であると考えられます。

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