公務員試験 H26年 法務省専門職員 No.14解説

 問 題     

臨床心理学的アセスメントに関する記述として最も妥当なのはどれか。

1. 臨床心理学的アセスメントの基本は 対象者の観察を含む面接と調査であるが 必要に応じて心理検査などによって補われる。ただし 現実の臨床場面では心理検査を実施できない場面や実施が望ましくない場面もあり 対象者に直接実施できる方法としては面接が唯一となる場合もある。

2. 臨床心理学的アセスメントの目的は 短期間で治療のための客観的な資料を収集することにあ り ストレス状況等の特殊な状況下において現れる行動や感情の動きは本来の人格理解を誤らせ かねない。したがって そうした行動や感情の動きはアセスメントの対象としない。

3. アセスメントの妥当性や信頼性を高めるため 心理検査は複数のものを組み合わせて実施する べきである。その際 心理検査には質問紙法 投影法などの種類があるが 異なる種類の検査同 士は比較できないので 妥当性や信頼性を高めるためには 同じ種類から少なくとも二つの検査 を実施しなければならない。

4. 臨床心理学的アセスメント面接において 結果の信頼性を確保するためには 構造化面接を行 うことが重要である。構造化面接法では 質問項目が明確に決められており それを基に面接者 が質問の順番を組み立てる。また その結果を一定の方法で採点・得点化することを保険数理統 計的手法という。

5. インテーク面接は 対象者がどのような問題を抱えているかを把握し それに対してどのよう な援助が最適であるかを判断するために行うものであり それ自体は治療的な機能を有していな い。したがって インテーク面接では 対象者に共感的な理解を示したり 受容的に接したりしてはならない。

 

 

 

 

 

正解 (1)

 解 説     

選択肢 1 は妥当な記述です。

選択肢 2 ですが
「短期間」「客観的な資料を収集」といった記述は「診断」などが妥当と思われます。クライエントの特徴、抱えている問題を多面的に評価することがアセスメントの目的です。よって、選択肢 2 は誤りと考えられます。

選択肢 3 ですが
どの心理検査でも、単独の検査で全ての側面の評価ができないため、質問紙法と投影法の組み合わせにより、意識下ー無意識下 双方から傾向をつかもうとしたりします。組み合わせて実施すること、及びその組み合わせを「テスト・バッテリー」と呼びます。「同じ種類から少なくとも二つ、実施しなければならない」わけではありません。よって、選択肢 3 は誤りです。

選択肢 4 ですが
構造化面接では、質問内容や順序が予め決まっています。「面接者が質問の順番を組み立てる」わけではありません。よって、選択肢 4 は誤りです。

選択肢 5 ですが
インテーク面接とは、相談者との初めての面接のことです。ラポール(信頼関係)を築くことが重要です。共感的な態度で接するのはもちろんのこととなります。よって、選択肢 5 は誤りです。

以上より、正解は 1 です。

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