公務員試験 H26年 法務省専門職員 No.15解説

 問 題     

サイコドラマに関する記述として最も妥当なのはどれか。
 
1. サイコドラマは 即興劇の方法を用いた集団精神療法であり モレノ(M oreno, J. L.)によって 集団の中で役割演技を行うことにより 自分自身の社会生活上の問題対処能力と社会参加力を強め 自己効力感を高めることを目的として作られた。
 
2. サイコドラマは 精神病院等の治療機関での治療 各種教育機関での教育 保健所等の地域保健活動治療者のトレーニングなど広い分野で適用されているが 非行少年は攻撃性の高さや言語表現力の乏しさなどから対象とされていない。
 
3. テレとは 成員間の心理的距離の取り方を規定する働きをするものであり テレが牽引の方向に働くことでグループの凝集性 親密性 相互交流が深まる。こうしたテレの作用が見られるようになったとき サイコドラマは適切に機能しているといえる。
 
4. 役割交換とは 主役を演じていた演者が他の役割と交換して演じることであり これにより主役は自分自身を客観的に理解し 相手の気持ちを理解できるようになる。ただし 役割交換は自発性を低下させ防衛を高めるリスクがあることから 一つのテーマの途中で役割を交換させることは望ましくない。
 
5. シェアリングでは 参加者たちは主役が演じた内容に共感したことや 自分の中に生じた気持ちを表現した上で 評価や質問を積極的に行うことが望まれる。シェアリングが多いサイコドラマは成功であり そのためにより多くの参加者を集めることがよいとされる。

 

 

 

 

 

正解 (3)

 解 説     

選択肢 1 ですが
サイコドラマ(心理劇)は、即興劇を用いた集団療法の一つです。モレノが考案しました。自分や他者についての受容、気づきを促すことが目的です。「問題対処能力・・・を強め」といった記述は明らかに誤りと考えられます。よって、選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2 ですが
サイコドラマは非行少年の矯正施設でも用いられる手法です。「非行少年は・・・対象とされていない」という記述は誤りです。よって、選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 は妥当な記述です。
「照れ」ではなく「tele」です。

選択肢 4 ですが
心理劇では、役割交換、二重自我、自我分割 といった技法が駆使されます。劇中において役割を交換したり、補助者が後ろについた上で、演者の裏の顔や葛藤の一方を演じる ということです。
気に入っている子の発言に対して、つい否定的な言葉で返した状況で、補助者が「あー、こんなこといったら嫌われるかも、やだなー」と表現する、といったイメージです。「役割を交換させることは望ましくない」という記述は誤りです。よって、選択肢 4 は誤りです。

選択肢 5 ですが
参加者が多すぎると収集がつかなくなると判断できるのではないでしょうか。10 人程度が適正とされています。よって、選択肢 5 は誤りです。

以上より、正解は 3 です。

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