公務員試験 H26年 法務省専門職員 No.8解説

 問 題     

 次はレヴィン(Lewin, K.)が提唱したコンフリクトに関する記述であるがA~Dに当てはまるものの組合せとして最も妥当なのはどれか。

 人の行動は、心理学的環境とそれに反応する人との関数として決定されるという。人が心理学的
環境の中で安定していれば力学的関係は均衡状態となり行動は生じないが、人の内部の均衡状態
が崩れて緊張状態が生じてくると、心理学的環境に欲求の目標が生じる。

 目標にはそれに接近させる正の誘発性と、回避させる負の誘発性がある。誘発性の強さは人と目標との心理的距離によって決定され、正負のいずれの誘発性も、目標との心理的距離が近いほど A なり、遠いほど B なる。ただし人と目標との心理的距離が遠い場合、正の誘発性の力に比べて負の誘発性の力の方がよりC なる。

 同時に存在する二つの目標の誘発性の方向が同じか、一つの目標に異なる方向の誘発性が存在すると、誘発性の力の強さの均衡点でいずれの行動もとれなくなることがある。これをコンフリクトといい以下の三つの型がある。

 接近-接近型は、いずれの目標にも正の誘発性があり、その均衡点に人がいる場合である。回
避-回避型は、両方の目標に負の誘発性があり、一方の負の力によって回避方向へ移動すると他方
の負の力の影響を受けて元に戻されることになる。そのため両方の目標に心理的に近づいたり離
れたりすることになる。接近-回避型は、正負の誘発性が同じ目標に存在する場合であり目標と
の心理的距離が D と正の誘発性によって目標へと接近を始める。しかし目標に近づくにつれて負の誘発性の力によって回避行動が生じ、動きがとれなくなる。

 A   B   C   D
1. 強く 弱く 強く 遠い
2. 強く 弱く 弱く 遠い
3. 強く 弱く 弱く 近い
4. 弱く 強く 強く 近い
5. 弱く 強く 弱く 遠い

 

 

 

 

 

正解 (2)

 解 説     

記述 A,B ですが
目標に近づきたい、回避したい というどちらの力も、心理的距離が近いほど強くなります。A は「強く」、B は「弱く」です。正解は 1 ~ 3 です。

接近ー接近型は、バッグも靴も欲しいが予算が片方分しかない、といったコンフリクトです。回避ー回避型は、練習嫌いだけど、やらないと試合に負ける、といったコンフリクトです。接近ー回避型は、試験前に遊びたいけど、留年は避けたい、といったコンフリクトです。

記述 C,D ですが
心理的距離が遠い場合、負の誘発性の力がより弱くなります。例としては「目の前の過去問勉強に取り組むのは嫌だと考えている時に、LINE で友達からカラオケの誘いが来た」といった場合です。この時に、留年がかかっている必修単位であればあっさり断れるが、すごく必要でもない単位の場合(心理的距離が遠い)場合、単位が取れないという状況を避けたい方向への力が弱くなり、カラオケに行ってしまいがち、というのは想像できるのではないでしょうか。C は「弱く」、D は「遠い」です。

以上より、正解は 2 です。

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