公務員試験 H26年 法務省専門職員 No.5解説

 問 題     

人間の言語獲得に関する記述 A~D のうち妥当なもののみを挙げているのはどれか。

A. スキナー(Skinner, B. F.)は自発的な発言行動が強化によって形成されていくとし言語行動も基本的にオペラント行動として理解できるものであると考えた。

B. チョムスキー(Chomsky, N. A.)は基本的文型を形成するルールとそれを変形するルールとの二つが組み合わされることで多様な文の産出が可能になるとしこの二つのルールは学習によって後天的に獲得されると主張した。

C. ブルーナー(Bruner, J. S.)は言語能力を備えた他者との交流や他者からの助けといった言語環境の重要性を指摘しそれを言語獲得支援システムと呼んだ。そしてそのシステムがないと生得的な言語能力も始動しないと主張した。

D. ピンカー(Pinker, S.)は言語獲得の生得性に疑問を投げ掛け概念獲得心の理論社会的認知能力などの発達と言語獲得が相互作用によって起きると考え言語獲得における共同注意(ジョイントアテンション)をはじめとした社会的側面の果たす役割を重視した。

1. A B
2. A C
3. A D
4. B D
5. C D

 

 

 

 

 

正解 (2)

 解 説     

記述 A は妥当な記述です。
「オペラント行動」=自発的行動です。オペラント行動に伴う報酬や罰により、行動頻度を変える手続きがオペラント条件づけです。行動頻度が増加する刺激が「強化」です。

記述 B ですが
チョムスキーの生成文法理論では、人が生まれ持って(生得的に)基本的な文法を備え、周囲の言葉を利用して言語能力を開花させると考えました。つまり、ルールについては「生得的」に獲得すると主張しました。よって、B は誤りです。

ちなみに、チョムスキーが提唱したのが「言語獲得装置」です。生得的に備わっており、周囲からの言語入力からスムーズに法則性を整理できると考えました。

記述 C は妥当な記述です。
ブルーナーは教育心理学者です。また、認知心理学の生みの親文化心理学の育ての親と呼ばれます。

記述 D ですが
ピンカー「言語を獲得できるのは、ヒトの本能である」と主張しました。「生得性に疑問」、「社会的側面の果たす役割を重視」という記述は妥当ではないと判断できるのではないでしょうか。ちなみに「共同注意」とは、自分と他者が同じものに注意を向けることです。乳幼児の知覚における指差し行動や、視線追従などのことです。

以上より、正解は 2 です。

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