公務員試験 H26年 法務省専門職員 No.4解説

 問 題     

性格特性研究におけるオルポート (Allport, G. W.) の考え方又は業績に関する記述として最も妥当なのはどれか。

1. 心理学は、法則定立的で実証的な学問に徹するべきと考えた。性格研究においては、因子分析を用いて多くの人に共通して認められる共通特性を見いだし、共通特性の組合せにより人格構造を記述するという、特性論に基づく性格研究の基礎を作った。

2. 多くの人に共通して認められる共通特性を表出的特性と態度的特性に分けた。前者は、環境に適応するときの行動に示される特性のことで、後者は人が目標に向かって行動しているときに現れる特性のことである。

3. 個人ごとの共通特性の有無・強弱を視覚的に示すために心誌(psychograph)を考案した。心誌は、代表的性格特性ごとに標準化の手続を経て選定された質問項目へのイエス・ノーの回答に基づき、折れ線グラフで性格全体のプロフィールが描けるよう工夫されたものである。

4. 個人のもつ性格特性のうち、その個人が所属する集団の平均よりもはるかに強く際立つ特性を中心特性と位置付け、これを構成するいくつかの持続的・一貫的な行動特徴を主要特性とし、さらに主要特性を構成する行動傾向群を表面特性とした。

5. 個人のもつ性格特性には、他の多くの人と共通して認められる共通特性があるとする一方で、
その個人に特有の個別特性もあるとし、個性記述的観点から後者を重視した。また、共通特性に
関しては個人間の量的比較の対象となるが、個別特性に関しては量的比較はできないと考えた。

 

 

 

 

 

正解 (5)

 解 説     

選択肢 1 ですが
法則定立的と対応される用語は個性記述的です。オルポートは「法則定立的、実証的に徹すべきと考えた」という記述は不適切と考えられます。また、「因子分析」を用いて特性を見出したのは「キャッテル」が妥当です。よって、選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2 ですが
表出的特性と、態度的特性についての記述が逆です。目標に向かって行動する時現れる特性が「表出的特性」です。環境適応行動時に示される特性が「態度的特性」です。よって、選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 ですが
行動観察して作成するのが心誌です。「質問項目へのイエス・ノー回答に基づき・・・」は、質問紙による検査法を指すと考えられます。よって、選択肢 3 は誤りです。

選択肢 4 ですが
「中心特性」とは、印象形成への影響が大きい特性のことです。アッシュの理論で用いられる用語です。よって、選択肢 4 は誤りです。

以上より
1~4が誤りなので、正解は 5 です。

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