公務員試験 H26年 国家一般職(行政) No.61解説

 問 題     

次のA、B、Cは心理学研究又は心理学理論に関する記述であるが、それぞれの研究又は理論と関連の深い用語の組合せとして最も妥当なのはどれか。

A. 0から 100 までの数字が書かれている回転式の円盤を用意し、大学生の実験参加者に、円盤を回して止まったときの数字をメモするよう指示した。ただし、この円盤はあらかじめ実験者により、10 か65 でしか止まらないように設定されていた。その後、参加者に次の二つの質問をした。

⑴ 国連加盟国に占めるアフリカ諸国の比率は、あなたが今書いた数字よりも大きいか、それとも小さいか。⑵ 国連加盟国に占めるアフリカ諸国の比率はどれくらいか。

その結果円盤で 10 という数字を見せられたグループの ⑵ の質問に対する解答 (比率) の中央値 (メディアン) は25%、65 という数字を見せられたグループでは、解答の中央値は 45 %であった。

B. アメリカ人とドイツ人の学生に次のアメリカの都市のうちどちらが大きいか尋ねた。⑴ サンアントニオ、⑵ サンディエゴ

その結果、両都市とも大都市として名前を知っていると思われたアメリカ人学生の正答率は 62% であった。それに対しドイツ人学生の正答率は 100 % であり、サンディエゴは聞いたことがあるがサンアントニオは聞いたことがないという可能性がより高いと思われたドイツ人学生の方が、正答率が高くなるという結果が得られた。

C. 大学生に人格検査 (ミネソタ多面人格目録:MMPI) を実施し、実際のテスト結果に基づいて作成した各人の人格評価の記述と、誰にでも当てはまりそうな曖昧で一般的な記述を提示して、大学生にどちらの分析が自分に当てはまるかと尋ねた。その結果、半数以上 (59%) の大学生が、後者の一般的な記述の方が自分の人格によりよく当てはまると回答した。

 

 

 

 

 

正解 (4)

 解 説     

記述 A ですが
フレーミング効果とは、争点を描写する際のフレーム(切り口)の違いが、受け手の解釈に差をもたらす、という効果です。A は「アンカリング効果」についての記述です。アンカリング効果とは、認知バイアスの 1 つで、最初に掲示されたものの特徴や数値、価格により、後に掲示されたものに対する判断が歪められるという効果です。

記述 B ですが
再認ヒューリスティックは、自分が知らないものより、自分が知っているものを高く評価してしまう特性です。代表性ヒューリスティックは、ありがちと思う事項の確率を、実際よりも高く見積もる特性です。記述は 再認ヒューリスティックについてです。

記述 C ですが
バーナム効果とは「あなたは好かれたいと思っているが、自己を批判する傾向がある」といった、一般的で広く当てはまる内容を、あたかも自分だけに当てはまると感じる傾向のことです。ちなみに、ハロー効果は、光背効果、後光効果とも呼ばれる、認知的ゆがみの一つです。顕著な特徴に引っ張られて、他の特徴についての評価が歪められることです。

以上より、正解は 4 です。

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