公務員試験 H26年 国家一般職(行政) No.60解説

 問 題     

社会学及びそれに関連する実証研究についての記述として最も妥当なのはどれか。

1. 自殺の社会的要因を研究した E.デュルケムは、個々の自殺の事例研究により、社会的規制の欠如が自殺を抑制することや、革命や戦争のような政治的危機の前後には自殺数の増加が見られることを示した。

2. 資本家、経営者などにおいて、プロテスタントの占める割合が大きいことに着目した M.ヴェーバーは、宗教改革によって世俗内禁欲が否定されたことで、欲望を肯定する近代資本主義の精神が生まれたことを明らかにした。

3. 照明実験などで知られるホーソン実験は、工場における労働生産性に関する研究であり、その結果、職場のインフォーマルな人間関係の影響は極めて小さく、それよりも部屋の明るさなど物理的な環境の方が重要であることが明らかとなった。

4. 第二次世界大戦における兵士たちの態度・感情・行動などを調査した研究成果である『アメリカ兵』では、兵士たちの満足度に関して、所属集団や帰属集団よりも、客観的地位による影響の方が大きいことが論証されている。

5. 文化と階層の関係の解明に取り組んだ P.ブルデューは、上流階層の人々がその幼少期から有形・無形に獲得してきた文化が、学校での成績や職業での地位達成などに有利な文化資本として機能していることを示した。

 

 

 

 

 

正解 (5)

 解 説     

選択肢 1 ですが
E.デュルケムは、自殺を4分類しました。1:利他的、2:利己的、3:アノミー的、4:宿命的 の4つです。この中で「アノミー的自殺」とは、社会的規制がない状態において、「より多くの自由」→「実現しきれない欲望」→「幻滅して自殺」というパターンです。「社会的規制の欠如」が「自殺を抑制」すると考えたわけではありません。また、政変や戦争により「自殺率は低下」することを指摘しました。選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2 ですが
ヴェーバーの「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神」によれば、プロテスタントの世俗内禁欲が、資本主義の精神に適合性を持っていたとされています。「宗教改革により世俗内禁欲が否定されたことで・・・近代資本主義の精神が生まれた」ことを明らかにしたわけではありません。選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 ですが
ホーソン実験は、労働生産性が、客観的な職場環境よりも、職場の人間関係や目標意識に左右されることを明らかにした実験です。選択肢 3 は誤りです。

選択肢 4 ですが
ストウファーが出版した「アメリカ兵」の中で、兵士の不満について、絶対的な基準で生じるものではなく、根本的に相対的なもの(相対的不満)であると論じました。また、マートンによれば、「準拠集団」、すなわち自分の意識や態度を決定する際に基準とする集団による、と解釈できると主張しました。「客観的地位による影響の方が大きい」わけではありません。選択肢 4 は誤りです。

選択肢 5 は妥当です。
P.プルデューの文化資本についての記述です。

以上より、正解は 5 です。

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