公務員試験 2019年 国家一般職(教養) No.28解説

 問 題     

近年の自然環境や科学技術をめぐる話題に関する記述として最も妥当なのはどれか。

1.2018 年夏,地球と火星が大接近した。火星の公転周期は地球より短く,二つの惑星は1 年のうちに何度か接近するが,火星の軌道は楕円軌道であるため,接近した際の距離がその都度異なる。今回の大接近では,満月に匹敵する明るい火星が観察された。

2.国際エネルギー機関は,2018 年,世界のエネルギー消費による2017 年の二酸化炭素排出量は過去最大であったと報告した。排出量の削減については,COP21 で採択されたパリ協定で,開発途上国を含む全ての参加国に対して温室効果ガスの排出削減の努力が求められている。

3.環境省は,絶滅のおそれのある野生生物をまとめた環境省版レッドリストを2018 年に改訂した。今回の改訂では,新たに指定された絶滅危惧種はなかったが,ニホンオオカミは,将来的に絶滅危惧種になる懸念がある準絶滅危惧種とされた。

4.2018 年,小型無人機(ドローン)による宅配サービスの国内初の実証実験が実施された。ドローンを操縦者の目視外まで飛行させるには事前に国土交通大臣の承認が必要だったが,この実験開始を受けて規制が緩和され,中核市で飛行させる場合については承認手続きが廃止された。

5.イプシロンロケットは,我が国の民間企業が単独で開発・生産を行ったロケットで,従来のH-ⅡAロケットと比べ,打ち上げのコストが低く抑えられている。2018 年には,水星磁気圏探査機「みお」の打ち上げに使用されるなど,実績を重ねている。

 

 

 

 

 

正解 (2)

 解 説     

選択肢 1 ですが
第1文は妥当です。15 年ぶりの地球と火星の大接近についての記述です。第 2 文ですが、太陽系を、太陽から近い方から並べると「水金地火木土天海」が基礎知識です。地球よりも火星の方が太陽から遠いため、太陽の周りを1周する公転周期は「火星の方が長い」です。「火星の公転周期は地球より短く」ではありません。選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2 は妥当です。
温室効果ガスに関する記述です。

選択肢 3 ですが
新たに 41 種が絶滅危惧種として指定されました。細かい数字は不要ですが、増加傾向にあることはおさえておきましょう。また、ニホンオオカミは「絶滅した」種の代表例です。選択肢 3 は誤りです。

選択肢 4 ですが
操縦者目視外まで飛行させるには、事前の承認が必要です。詳しく知らなかったとしても、中核市「人口 20 万人以上」は基礎知識です。(H26no7)。このような場所で、手続きなく操縦者が近くにいない状態でドローンが飛び回っているという現状ではない、と判断できるのではないでしょうか。

選択肢 5 ですが
イプシロンロケットは、JAXA と IHI(旧 石川島播磨重工業) の子会社による開発です。JAXA が国立研究開発法人なので「我が国の民間企業が単独で開発・生産を行ったロケット」ではありません。また、「みお」はヨーロッパ製の アリアン 5 号により打ち上げられました。選択肢 5 は誤りです。

以上より、正解は 2 です。

 

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