公務員試験 2019年 国家一般職(教養) No.29解説

 問 題     

我が国の成人の年齢要件等に関する記述として最も妥当なのはどれか。

1.2015 年に公職選挙法が改正され,選挙権年齢は 18 歳以上となり,併せて被選挙権年齢も引き下げられ,衆議院議員及び参議院議員の被選挙権年齢は共に 20 歳以上となった。2017 年の衆議院議員総選挙では,20 代で当選した議員は 20 人を超え,若者の政界進出に一定の効果があった。

2.2016 年に国民年金法が改正され,国民年金の加入年齢の下限は 20 歳から 18 歳に引き下げられ,上限は 64 歳から 69 歳に段階的に引き上げられることとなった。この結果,2022 年以降,国民年金の加入期間は 18 歳以上 69 歳以下に拡大し,年金支給開始年齢は 70 歳となった。

3.2018 年に民法が改正され,2022 年に成人年齢が 20 歳から 18 歳に引き下げられることとなった。この改正により,結婚可能年齢は男性が 2 歳引き下げられ,男女とも 16 歳となることとなり,同時に,女性のみに課していた再婚禁止期間を廃止することとなった。

4.民法が改正され,未成年者取消権も 20 歳から 18 歳に引き下げられることとなり,18,19歳の者が消費者トラブルに巻き込まれやすくなるとの懸念が指摘されている。2018 年に改正された消費者契約法では,不安をあおる告知などの社会生活上の経験不足を利用した行為などを,不当な勧誘行為と定めて,この勧誘によって結ばれた契約を取り消せるようにした。

5.民法の改正後も対象年齢を 20 歳以上に維持するものとして,飲酒可能年齢や帰化の年齢要件などがある。少年法については,2018 年に法制審議会から答申が出されて,有期刑の年数の上限を引き下げる一方,検察官が少年審判に立ち会える対象を強盗や窃盗まで拡大するなどの措置を採ることで,少年法の対象を 20 歳未満に維持することとなった。

 

 

 

 

 

正解 (4)

 解 説     

選択肢 1 ですが
選挙権年齢については妥当です。満 18 歳以上となりました。一方で、被選挙権年齢は、衆議院が満 25 歳以上、参議院が満 30 歳以上です。選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2 ですが
国民年齢の加入年齢下限は、本試験時点において 20 歳のままです。また、上限は 60 歳です。ただし上限については、本試験時点において、年金額を増やしたいなどの本人希望により 60 歳以降も任意加入は認められています。また、年金支給開始年齢は現在 60 ~ 75 歳までの間での選択制です。選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 ですが
2018 年民法改正により、結婚可能年齢に変化はありません。男 18 歳、女 16 歳です。また、再婚禁止期間は 原則 100 日です。廃止はされていません。選択肢 3 は誤りです。

選択肢 4 は妥当です。
民法改正に伴う消費者トラブルに関する記述です。

選択肢 5 ですが
民法改正に伴う成人年齢の引き下げに伴い、帰化の年齢要件も 20 歳から 18 歳に引き下げられます。「20 歳以上に維持するもの」ではありません。また、少年法については、18,19 歳の少年を「特定少年」というカテゴリーとした上で、少年法の適用を制限するような形で改正されました。具体的には、原則として検察官送致(逆送)とする対象事件が拡大されます。また、起訴後は実名報道が解禁されます。選択肢 5 は誤りです。

以上より、正解は 4 です。

 

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