公務員試験 H26年 国家一般職(行政) No.7解説

 問 題     

我が国の地方自治に関する次の記述のうち妥当なのはどれか。

1. 中核市は平成7年に導入された制度であり制度創設時には人口30万人以上という要件に加え面積が100平方キロメートル以上であること及び人口が30万人以上50万人未満の場合は昼間人口が夜間人口より多いことも要件とされていたが平成26年1月現在は人口30万人以上であることのみが要件とされている。中核市には政令指定都市に移譲されている事務に準じて一定の事務が移譲されており主な事務には身体障害者手帳の交付や飲食店営業等の許可などがある。

2. 特例市は平成12年に導入された制度であり特例市に指定される要件は人口20万人以上であることのみであるが平成26年1月現在の特例市の数は約20市であり約40市ある中核市と比較すると少ない。特例市には原則として中核市に移譲されている事務が移譲されるが広域的な自治体である都道府県が一体的に処理することが効率的な事務は移譲されず都市計画に関する事務は一切移譲されていない。

3. 広域連合は平成7年に導入された制度であり都道府県市町村及び特別区は複数の事務を共同処理するために広域連合を設立することができ全ての広域連合は国から事務・権限の移譲を受けることができる。広域連合が処理する主な事務には後期高齢者医療や介護認定審査などがあり多角的な事務処理を通じて広域的な行政目的を達成することが可能な仕組みとなっている。

4. 我が国における市町村合併の歴史をみると「明治の大合併」で7万以上あった市町村が約1万5千まで減少し「昭和の大合併」で約1万あった市町村が約2千弱まで減少している。両者とも政府主導の市町村合併であることは共通しているが「明治の大合併」は富国強兵を目的とした小規模町村の新設合併であったのに対し「昭和の大合併」は民主化を目的とした大規模都市による近隣町村の編入合併であった点が相違している。

5. 地方債について平成17年度以前は都道府県政令指定都市及び市町村が地方債を発行する場合には全て国の許可が必要であったが平成18年度からは許可制が同意制になった。これによって地方債の発行は全て国と地方の間での協議の下で国が同意を与えるという仕組みに改められたが国が同意を与えない場合でも地方公共団体は地方議会の承認を得た場合には地方債を発行することができることとなっている。

 

 

 

 

 

正解 (1)

 解 説     

選択肢 1 は妥当です。
中核市についての記述です。ちなみに、H27 年 4/1 より、人口要件が 20 万人以上に緩和されました。

選択肢 2 ですが
「特例市」は、中核市との区別がなくなりました。かつては「中核市が処理することができる事務のうち、『都道府県が一体的に処理すべき』とされた事務以外のものを処理する」と定義されていた、地方公共団体の一つの区分です。「都市計画に関する事務は『一切』移譲されていない」という部分が強すぎる記述であり、妥当ではありません。かつての特例市としては、水戸市や越谷市などがあげられます。中核市に移行しました。選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 ですが
広域連合は、複数の普通地方公共団体や特別区が、行政サービスの一部を共同で行うことを目的として設置する組織で、特別地方公共団体の一つです。都道府県の加入する広域連合は国に、都道府県の加入しない広域連合は都道府県に対し、権限に属する事務の一部を処理することとされるよう要請することができます。「全ての広域連合は国から」という部分が妥当ではないと考えられます。選択肢 3 は誤りです。

選択肢 4 ですが
2000 弱まで減少したのは「平成の大合併」です。昭和の大合併では 10000 弱 → 3500 弱です。選択肢 4 は誤りです。

選択肢 5 ですが
地方債とは、地方公共団体が発行する公債です。イメージは借金です。個人でも、例えば東京都の出している地方債を、大きな銀行窓口に行けば買えます。H18 年度から、許可制→「協議制」へと変更になりました。「同意制」ではありません。協議制において、相談した所から同意を得られなくても、あらかじめ地方公共団体の議会に報告すれば、公的資金の借り入れはできないといった制限付きですが、発行可能という制度です。選択肢 5 は誤りです。

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