過去問 2020年 国家一般職(高卒 基礎)No.27解説

 問 題     

イスラーム世界に関する記述として最も妥当なのはどれか。

1.イェルサレムに生まれたムハンマドは,イスラーム教を開き,この世を善の神と悪の神との対立と捉え,善の神であるアッラーへの絶対的帰依を説き,厳格なカースト制度を定めた。

2.ムハンマドの死後に成立したウマイヤ朝は,フランク王国を滅ぼしてキリスト教の聖地であるメッカを初めて征服した。これに対し,ビザンツ皇帝は聖地奪還を目指して十字軍を派遣した。

3.十字軍は,聖地奪還後にイェルサレム王国を建国し,キリスト教の布教を進めた。これに対し,セルジューク朝は,レコンキスタと呼ばれるイスラーム教への改宗運動を進めた。

4.アッバース朝は,税制面でのアラブ人の特権を廃止して,イスラーム教徒間の平等を実現した。また,交通網が整備されて交易が発展し,都のバグダードは商業等の中心都市として栄えた。

5.モンゴル高原に成立したイル=ハン国がイスラーム教徒を迫害したため,イスラーム教徒はメディナに移住した。その後,信徒を増やしたイスラーム教徒は,イル=ハン国を征服した。

 

 

 

 

 

正解 (4)

 解 説     

選択肢 1 ですが
イスラーム教は、唯一神アッラーへの服従・帰依を教えとする、宗教の1つです。「善の神と悪の神との対立」と捉えてはいません。選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2 ですが
ムハンマドが神の啓示を受け、布教に励むも、保守的集団から追われ、メッカから逃れます。その後、教団を組織し、武力によりメッカを奪還 という流れです。「ムハンマドの死後成立したウマイヤ朝が、メッカを初めて征服」ではありません。選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 ですが
レコンキスタとは、スペイン語で「再征服」という意味です。イスラーム支配に対する、イベリア半島のキリスト教徒による反撃の動きのことです。「イスラーム教への改宗運動」ではありません。選択肢 3 は誤りです。

選択肢 4 は妥当です。
ウマイヤ朝を倒したアッバース朝についての記述です。

選択肢 5 ですが
イル=ハン国は、イスラム教を国教としました。「イスラーム教徒を迫害」ではありません。選択肢 5 は誤りです。

以上より、正解は 4 です。

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