公務員試験 2020年 国家一般職(教養) No.36解説

 問 題     

我が国の地形に関する記述として最も妥当なのはどれか。

1.河川が上流で岩石を侵食し,下流へ土砂を運搬して堆積させることにより,様々な地形が作られる。山地の急流では侵食・運搬作用が働き,これに山崩れや地滑りなどが加わることで,横断面がU字型をしたU字谷が形成される。そこに上流からの土砂が堆積すると氾濫原が作られる。

2.河川が山地から平野に出ると,侵食された砂礫れきのうち,軽い砂から順に堆積する。氾濫のたびに河川は流路を変え,礫は扇状に堆積し,扇状地が形成される。湧水を得やすい扇央は畑や果樹園などに利用されやすく,水を得にくい扇端には集落が形成されやすい。

3.河川の氾濫が多い場所では,堤防などで河川の流路が固定されることがある。このため,砂礫の堆積が進んで河床が高くなり,再び氾濫の危険が高まる。更に堤防を高くしても河床の上昇は続くため,周囲の平野面よりも河床が高い天井川が形成されることがある。

4.河川が運んできた土砂や別の海岸の侵食により生じた土砂が沿岸流によって運搬され,堆積することにより岩石海岸が形成される。ダムや護岸が整備されると,河川により運搬される土砂が増加するため,海岸侵食が進んで海岸線が後退することがある。

5.土地の隆起や海面の低下によって海面下にあった場所が陸地になると,谷が連続して海岸線が入り組んだリアス海岸が形成される。平地が少なく内陸との交通も不便であり,内湾では波が高いため,養殖業や港が発達しにくい。

 

 

 

 

 

正解 (3)

 解 説     

選択肢 1 ですが
第1文は妥当です。河川による侵食、運搬、堆積作用により様々な地形が作られます。第 2 文ですが「U 字谷」氷河の侵食作用でできた谷です。ちなみに、U 字谷に海水が流入して生じた細長い湾をフィヨルドといいます。「河川の侵食作用」でできる地形ではありません。選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2 ですが
第1文について、重たいものがすぐにより速く沈みます。「軽い砂から順に堆積」というのはおかしいと判断できるのではないでしょうか。また、扇状地において 湧水を得やすいのは、扇形の弧に近い部分である「扇端」です。選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 は妥当です。
天井川についての記述です。

選択肢 4 ですが
岩石海岸は、波の侵食により形成される侵食地形の一種です。堆積することにより形成される堆積地形ではありません。また、ダムや護岸が整備されると、運搬される土砂は「減少」します。増加ではありません。選択肢 4 は誤りです。

選択肢 5 ですが
前半部分は妥当です。リアス海岸は、土地の隆起や海面低下により形成されます。後半部分ですが、複雑に入り組んだ地形により、風の影響が和らぎ、波が穏やかです。そのため、養殖業などが盛んです。ただし、地震による津波が到達した際には、波のエネルギーが集中していくため、沿岸部において大きな津波となります。選択肢 5 は誤りです。

以上より、正解は 3 です。

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