公務員試験 2020年 国家一般職(教養) No.31解説

 問 題     

次は,気体の状態変化に関する記述であるが,A~Dに当てはまるものの組合せとして最も妥当なのはどれか。

空気をピストンの付いたシリンダーに入れ,勢いよくピストンを引くと,容器の内部が白く曇ることがある。この現象は,熱力学第 1 法則によって説明することができる。まず,気体内部のエネルギーの変化 ΔU は,気体に加えられた熱量 Q と外部から気体に加えられた仕事 W の A である。

この現象では,勢いよくピストンを引いたことでシリンダー内部の空気が膨張した。短時間の出来事であり,熱の出入りがほとんどなく, B とみなせるため,Q は 0 である。また,空気は膨張することで外部に仕事をしたので,W は C となる。すると,ΔU も C となり,シリンダー内部の空気の温度が D した。このため,シリンダー内部の空気中の水蒸気が水滴に変わり,シリンダー内が白く曇ったのである。

  A   B   C   D
1.和 等温変化 負 上昇
2.和 断熱変化 負 下降
3.差 等温変化 正 下降
4.差 断熱変化 正 上昇
5.差 断熱変化 負 上昇

 

 

 

 

 

正解 (2)

 解 説     

A ですが
熱力学第 1 法則 は、ΔU = ΔQ + Δw と表されます。(参考 薬学 物理化学まとめ)。A は「和」です。

B ですが
「熱の出入りが ほぼない」という意味を表すのは「断熱」です。断熱であるとは、ΔQ = 0 と言い換えられます。 B は「断熱変化」です。

C ですが
熱力学第1法則における ΔW は「気体が外部からなされた仕事」のことなので、気体が膨張して外部に対して仕事をした場合、負の仕事となります。C は「負」です。

D ですが
ΔU = 0 +(負の値) なので、ΔU は負です。内部エネルギーは温度に依存し、温度に比例します。内部エネルギーが減ったのであれば、温度は下降します。D は「下降」です。

以上より、正解は 2 です。

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