公務員試験 2020年 国家一般職(教養) No.30解説

 問 題     

我が国の税制に関する記述として最も妥当なのはどれか。

1.国際観光旅客税は,出国税とも呼ばれ,海外旅行や出張で日本を訪れた外国人が日本を出国する際に課される税で,2019 年に新たに導入された。出国者は,航空機への搭乗や乗船の直前に1,000 円相当の税金を納めなければならない。また,2021 年からは,海外に出発する日本人にも国際観光旅客税が適用されることが決定している。

2.2019 年,消費税率が8 % から10 % に引き上げられるとともに,消費税率の引上げに伴う日々の生活への影響を緩和するため,軽減税率制度が導入された。軽減税率の対象品目は,酒類・外食を除く飲食料品や,定期購読契約された週2 回以上発行される新聞である。消費税率の引上げによる増収分は,社会保障に充てられることとなっている。

3.配偶者の収入が一定額以下の世帯を対象に所得税を減免する配偶者控除は,配偶者の勤労意欲を阻害しているとの指摘があり,2020 年分以降の所得税については,配偶者控除が廃止されることとなった。また,高額所得者の勤労意欲を高めるため,所得税額の計算をする際に,総所得金額等から一定額を差し引くことができる基礎控除の仕組みを創設することとした。

4.たばこ税は,道府県たばこ税,市町村たばこ税の二つに分けられ,たばこ製造者や輸入取引業者が納税義務者となっている直接税である。2020 年,健康増進法の一部を改正する法律が全面施行され,新たに国税となるたばこ特別税が課されることとなったほか,加熱式たばこ区分の新
,消費税と同じ従価税への変更などが行われた。

5.酒税については,従来,酒類間の税負担の公平性を図る観点から,酒類の品目にかかわらず同じ税率が適用されていた。しかし,ビールなどの蒸留酒類の消費が好調であることを受け,2017 年度の税制改正において,2020 年以降段階的に,ビールの税率を引き上げる一方,それまでビールと同じ税率が適用されていた発泡酒やいわゆる「新ジャンル」については税率を引き下げることとした。

 

 

 

 

 

正解 (2)

 解 説     

選択肢 1 ですが
第一文前半は妥当です。国際観光旅客税出国税とも呼ばれます。課税対象は、原則 日本から出国する人全員です。「海外旅行や出張で日本を訪れた外国人」だけが課税されるわけではなく、日本在住の日本人が観光目的などで海外へ出国する際にも課税されます。納付は個人から直接徴収ではなく、旅客運行会社を通じた特別徴収です。チケット代などに上乗せされます。選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2 は妥当です。
消費税率の軽減税率制度についての記述です。

選択肢 3 ですが
本試験時点において、配偶者控除については廃止されることになってはいません。選択肢 3 は誤りです。

選択肢 4 ですが
たばこ税は、国たばこ税、地方たばこ税(都道府県たばこ税・市区町村たばこ税)、たばこ特別税の 3 つに分けられます。2 つではありません。この知識をしっかり持っている人は少なかったと思いますが、たばこ税といえば、「直接税」ではなく「間接税」という点から判断したい記述です。選択肢 4 は誤りです。

選択肢 5 ですが
酒税についてアルコール濃度や製法により、異なる税率が適用されています。「同じ税率」ではありません。選択肢 5 は誤りです。

以上より、正解は 2 です。

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