公務員試験 2020年 国家一般職(行政) No.42解説

 問 題     

我が国の財政の状況に関する次の記述のうち,妥当なのはどれか。ただし,令和元年度の一般会計当初予算については,消費税引上げに伴う「臨時・特別の措置」を含むものとする。

1.一般会計当初予算の規模についてみると,令和元年度は平成 29 年度,平成 30 年度に引き続き 100 兆円を超えている。また,令和元年度の一般会計当初予算における租税及び印紙収入は,前年度当初予算のそれよりも減少したものの,60 兆円を上回っている。

2.令和元年度の一般会計当初予算の歳出のうち,基礎的財政収支対象経費が7 割弱を占めており,当該基礎的財政収支対象経費に占める社会保障関係費の割合は50 % を超えている。また,社会保障関係費は,前年度当初予算のそれよりも減少している。

3.令和元年度の一般会計当初予算の歳入についてみると,特例公債発行額は4 条公債発行額の3 倍を超えている。また,公債発行額を一般会計歳出総額で除した値である公債依存度は,令和元年度当初予算においては30 % を超えている。

4.令和元年度の一般会計当初予算の歳出における国債費をみると,利払い費が15 兆円程度であり,債務償還費が9 兆円程度となっている。また,国債金利(10 年債)についてみると,公債発行額の増加に伴い,平成20 年から平成30 年まで2 % を上回る水準となっている。

5.租税負担額及び社会保障負担額の国民所得(NI)に対する比率である国民負担率は,平成24 年度(実績)から平成30 年度(実績見込み)まで50 % を若干上回る水準で推移している。また,平成30 年度(実績見込み)においては,社会保障負担率が租税負担率よりも大きい。

 

 

 

 

 

正解 (3)

 解 説     

選択肢 1 ですが
平成 29 年度の一般会計予算規模は 100 兆円を下回りました。(H30no42)。100 兆円の大台を超えたのは 令和元年(2019年)当初予算が初めてです。また、H30 年度における租税及び印紙収入が約 59 兆円でした。そのため、前年度よりも減少したのであれば、60 兆円は上回りません。(2019no42)。選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2 ですが
社会保障関係費は、少子高齢化を背景として、増加の一途をたどっています。様々な歳出抑制努力を積み重ねた結果、社会保障関係費の実質的な伸びを「高齢化による増加分におさめる」という方針を着実に達成しているという状況です。従って「社会保障関係費は,前年度当初予算のそれよりも減少している」という記述がおかしいと判断したい内容です。選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 は妥当です。
特例公債発行額は、近年4条公債発行額の3倍を超えています。ちなみに、累積残高の比率は、4条:特例がおよそ 1:2です。(2019no42)。また、公債依存度は H21 年の 52% をピークに漸減しており、令和元年度当初予算では 30% 強です。

選択肢 4 ですが
債務償還費用が 15 兆円程度、利払い費用が 9 兆円程度です。前半部分の記述が逆です。また、後半部分ですが、正確な金利水準を知らなくても、マイナス金利などの話題から「年 2% を上回る水準」は、高すぎると判断したい内容です。選択肢 4 は誤りです。

選択肢 5 ですが
国民負担率は、H23 年度時点で 40% 程度です。主要先進国と比べても低い水準です。(参考 国家専門職 H25 教養 no39)。2020 年(令和 2 年)時点の国民負担率は 45% 弱です。選択肢 5 は誤りです。

以上より、正解は 3 です。

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