R4年 大規模水質特論 問7 問題と解説

 問 題     

製鉄所の各プロセスの排水に関する記述として、誤っているものはどれか。

  1. コークス製造工程で、コークス炉ガスに水を噴霧して冷却する際に発生する凝縮水は安水と呼ばれ、脱安ストリッパーでアンモニア及びシアンを低減した後に活性汚泥処理される。
  2. 熱間圧延工程の直接冷却水は、鋼板等の製品に直接噴射された水であり、製品表面に生成する酸化鉄のスケール、潤滑油や圧延油などのn‒ヘキサン抽出物を含む。
  3. 冷間圧延には、酸洗、冷間圧延、電解清浄、焼きなまし、調質圧延の工程が含まれ、この内、酸洗からの濃厚廃液には鉄や塩酸(又は、硫酸)が含まれる。
  4. クロメート処理工程からの排水は、三価クロムや亜鉛を含む。三価クロムは酸性でもアルカリ性でも沈殿しないので、酸化剤を用いて六価クロムにしてから沈殿除去する。
  5. 電解脱脂工程では、アルカリ性の脱脂液の取り替えから濃厚廃液が、脱脂後の洗浄から水洗排水が排出される。排水には油脂分、酸化鉄、界面活性剤などが含まれる。

 

 

 

 

 

正解 (4)

 解 説    

(4)に関して、クロメート処理工程からの排水は、六価クロムや亜鉛を含みます。そして、六価クロムは酸性でもアルカリ性でも沈殿しないので、還元剤を用いて三価クロムにしてから沈殿除去する必要があります。

つまり、(4)の文章は「六価クロム」と「三価クロム」が反対になっていて、それに伴い「酸化剤」が誤っていて、正しくは「還元剤」となります。

クロメート処理に関する以上のことは重要事項なのでぜひ押さえておいてほしい知識ですが、仮に知らなかったとしても、六価クロムと三価クロムでは六価クロムのほうが有害であるということは最低限覚えておくべきです。

環境基準や排水基準に「六価クロム」が単独で指定されていることを知っていれば、こちらのほうが有害性が高く、(4)の文章の「三価クロムを六価クロムにして~」という文章がおかしいことに気づくことができます。

以上から、正解は(4)となります。

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