R4年 大規模水質特論 問6 問題と解説

 問 題     

冷却水の再利用に関する記述として、誤っているものはどれか。

  1. 冷却水は工業用水の全使用量に占める割合が高く、水使用の合理化において重視すべき用途である。
  2. 冷却水の利用には、高温の製品等に接触する直接冷却と、熱交換器による間接冷却があり、直接冷却では冷却水の再利用はできない。
  3. 冷却塔を用いる循環冷却水系では、水の一部を蒸発させて蒸発潜熱により水温を下げて再利用する。
  4. 冷却塔を用いる循環冷却水系では、塩類が濃縮することにより、配管における金属の腐食やスケールの析出が起こりやすい。
  5. 冷却塔を用いる循環冷却水系では、ブロー水、蒸発水、及びその他の種々の形態による水の損失を含む飛散水を合わせた量を、補給水として補う。

 

 

 

 

 

正解 (2)

 解 説    

(1)は正しいです。冷却水は工業用水の60%程度を占めています(数値は覚えなくて大丈夫です)。そのため、これを再利用に回すことができれば、水使用の合理化に大きく寄与します。

(2)が誤りです。結論から言えば、直接冷却の場合でも間接冷却の場合でも、冷却水を再利用することはできます。

間接冷却の場合は冷却水から熱だけが奪われるので水質は保たれやすいです。冷却塔を利用して水温を低下させたのち、再び冷却水として循環利用します。もちろん、少しは水質の悪化が起こるので、一定の循環水のブローと新たな水の補給を行う必要はあります。

一方、直接冷却の場合には製品などに直接水をかけるため、その水質は間接冷却に比べて悪化しやすいです。そのため、直接冷却水の再利用を行う場合は、排水処理工程を経たのちに冷却塔で水温を低下させるプロセスがとられます。

(3)は正しいです。水が水蒸気に変わる際には、周囲の水から大きな蒸発潜熱(気化熱)を吸収します。冷却塔ではこの性質を利用して、水の一部を蒸発させることで、残った水の水温を下げています。

(4)も正しいです。冷却塔にて水の一部は蒸発しますが、このとき塩類は冷却塔に残ります。蒸発した分の水は新たに供給されますが、このときに同時に塩類も入ってくるので、循環しているうちにどんどん塩類が濃縮してしまいます。

実際には、塩類が濃縮して悪さをしないよう、循環冷却系における塩の濃縮による障害を防止するために、一定の循環水をブローしたり、冷却水に薬液を添加したりする対策が取られます。

(5)も正しいです。循環冷却水系において、失った水の分だけ補給しないと、いつかは冷却水が枯れてしまいます。そのため、失った水(ブロー水、蒸発水、飛散水)と同じ量だけ、補給水を補う必要があります。

以上から、正解は(2)です。

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