R4年 大規模水質特論 問5 問題と解説

 問 題     

排水再生利用のための処理技術に関する記述として、誤っているものはどれか。

  1. 再生利用に供される水に含まれる汚濁物質の組成が明らかであれば、水処理は特定の汚濁成分についてだけ行えばよく、同一工場での再生利用が経済的である。
  2. 排水を再生利用する場合、目的とする用途への水質適合を図ればよい。
  3. 一般にクローズドシステムでは脱塩技術が不可欠となる。
  4. 水の合理的使用の目的は公共用水域の水質汚濁防止であるので、できる限り高度な処理方式を選択する。
  5. 再生利用の際に無機塩類や溶解性有機物を除去する手段としては、活性炭吸着、イオン交換、膜分離プロセスなどがある。

 

 

 

 

 

正解 (4)

 解 説    

(1)は正しいです。汚濁物質の組成が明らかであれば、ターゲットを絞った水処理を行なえばよいので、効率的かつ経済的です。同一工場での再生利用の場合(特に同一工程の同一用途に再使用する場合)、汚濁物質の組成を特定しやすいので、この方法を取りやすいです。

(2)も正しいです。排水を再生利用する場合、必ずしも完全に綺麗な水まで再生する必要はありません。再生利用した水を何に使うかを考え、その用途に見合った水質にできれば十分です。

(3)も正しいです。排出水を系外に出さずに100%循環させて再生利用するクローズドシステムでは、段々と塩分が濃縮してしまいます。これにより、配管の腐食などにつながるおそれがあるため、脱塩技術によって塩分濃度を低めに保つことが重要です。

(4)が誤りです。(2)の解説と重なりますが、水の合理的使用には、再利用の目的を考慮した最小限の処理で済ますことが望ましいといえます。高度な処理方式によって極端に綺麗な水に再生するのは、手間や時間やエネルギーの無駄遣いとなります。

ちなみに、(4)の文中には「水の合理的使用の目的は公共用水域の水質汚濁防止」とありますが、本問では排水を再生利用する話が前提となっているので、公共用水域に排水を放流する話とは別問題です。公共用水域に放流する場合には、確かに高度処理のほうが望ましいといえます。

(5)は正しいです。活性炭吸着、イオン交換、膜分離などは、無機塩類や溶解性有機物を除去する手段の代表例といえます。

以上から、正解は(4)です。

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